2015 Fiscal Year Research-status Report
ウェールズ英語とスコットランド英語における反方言化の進行とアイルランド語の影響
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26370574
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
三浦 弘 専修大学, 文学部, 教授 (00239188)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音声・音韻 / 英語方言 / 母音 / フォルマント / 子音 / ウェールズ / アイルランド / スコットランド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は8月から9月にかけてアイルランド英語の2方言(首都ダブリンと南部キラーニー)を調査収録した。ダブリンでは、勤務校である専修大学との国際交流提携校であるダブリン大学トリニティー・カレッジの協力を得て、適切な被験者からダブリン英語の特徴をうまく引き出すことができた。キラーニーでは、収録のための協力者や好意的な公共施設が見つからず、一人で公園や教会で比較的高齢の被験者を探し、ベンチ等での収録となり、謝金目当てで文字も読めない被験者も含まれたが、かえってこの土地の言葉の特徴を労働者階級の人々から引き出すことができた。しかし、事前手配の無い、一人だけの調査の難しさを実感した。 論文は前年度までの録音分析に基づくスコットランド英語に関するものを1編とウェールズ英語に関するもの3編を発表できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウェールズ英語とスコットランド英語の収録音声の分析は母音についてはほぼまとまり、アイルランド語(ケルト語/ゲール語)の影響である特徴も明示できた。収録音声の中の子音や音調といった他の要素についても分析し、発表していく予定である。また、平成27年度に収録したアイルランド英語の音声についても平成28年度に発表する予定である。アイルランド英語はアイルランド島のケルト語(スコットランドのケルト語と同様の「ゴイデル語」、Goidelic, Q-Celtic)の影響が当然強いと思われるが、首都ダブリンの英語は独特であり、母音のみならず、子音も独特である。他の英語方言にはあまり見られない、破擦音化した [ t ] の発音等は、被験者の口元をビデオ撮影させていただいたので、音響分析結果と併せて研究発表時に紹介していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間の最終年度となる平成28年度の現地調査は、コーンウォール地方(イングランド南西部)の英語を収録したいと思うようになった。コーンウォール語(Cornish)は18世紀に絶滅してしまったが、ウェールズ語と同様のブリテン島のケルト語(「ブリソン語」、Brythonic, P-Celtic)であったために、コーンウォール英語に強い影響を与えたことは容易に想像できる。それが現在の英国を取り巻く反方言化の中でどのように保存されているのか、また、ウェールズ英語との相違を比較しておきたい。コーンウォール英語に関する現地調査報告はほとんど見当たらず、子音の [ r ] 音のそり舌が特徴的であること以外はあまり知られていないためである。 コーンウォール英語の調査では、事前に市役所や公共図書館等に協力を依頼し、できれば、イギリス人研究者に数日間同行して協力してもらいたいと考えている。謝金費目の支出を増額しなければならないが、可能な範囲で予算を調整したい。
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Causes of Carryover |
平成27年度8月上旬に予定していたグラスゴーでの国際学会発表、及び11月のソウルでの日韓合同英語音声学者会議への出席は、勤務校の役職業務の関係で取りやめとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(B-A)は、平成28年度に予定しているコーンウォール地方(イギリス)の調査で使用する予定である。現地研究者の協力を得るための人件費・謝金の支出や、協力者の宿泊費、及びその他(ガソリン代)等に充てる。
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Remarks |
13.研究発表(平成27年度の研究成果)[雑誌論文]に記載した『専修人文論集』(第97号及び第98号)の公開は、「専修大学学術機関リポジトリ(SI-Box)」のURLから、紀要論文>学部>文学部>『専修人文論集』>第97号、第98号>三浦 弘の論文と検索 研究者の情報は、「専修大学研究者情報データベース」のURLから、>文学部>三浦 弘と検索
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Research Products
(8 results)