2015 Fiscal Year Research-status Report
理工系非漢字圏学習者のための漢字ロードマップの作成と教材開発
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26370596
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
竹田 ゆう子 (笠原ゆう子) 電気通信大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40282925)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 漢字 / 非漢字圏学習者 / 理工系 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度終了時の計画では、平成27年度に(1)レベル4の教材の作成と試用、(2)レベル3の教材の試用結果と評価についての学会報告、(3) レベル5、6の漢字240字の選定、(4) レベル5、6の漢字教材作成のための理工系文章の選定・リライト、(5) レベル5、6の漢字の字義の分析、(6) レベル5、6の教材のプロトタイプの作成、を予定していた。平成27年度は上記のうち、(1)レベル4の教材の作成と試用、 (2)レベル3の教材の試用結果と評価についての学会報告を行った。(2)においては、(1)のレベル4の結果と評価を含めて報告している。 26年度のレベル3、平成27年度のレベル4の試用の結果、非漢字圏学習者にとって両教材の難易度が高いことがわかった。その要因は実際の学習者の日本語習得レベルが想定より低く、既習語彙も少なかったことにあった。そこで、教材の本文や練習の日本語レベル、学習漢字数に変更が必要であるとの結論となり、レベル3では当初の想定レベルである初中級~中級からレベルを下げ、修正版では初級レベルの文法・語彙を用いることにした。レベル4は、学習漢字数が過多であるとの評価であったため、学習漢字数を60字減じた100字とし、教材の内容はレベル3と同様に改変することとした。レベル4以上では漢字学習数を減らす必要があることが明らかになったため、全体のレベル数を当初の6レベルから7レベルに変更し、レベル4以上にそれぞれ100字を設定することにした。また、レベル5以上については、今年度明らかになった学習者の習得の実態を踏まえ、漢字選定においては、学習者の既有知識や既習語彙をより考慮することにした。そのために、学習者が英語で修得している理工系用語、中でも、より基礎的なレベルの用語、また、理工系研究室生活の中で接する語彙の漢字に重点を置くことにし、それらの調査に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度終了時の計画では、平成27年度に(1)レベル4の教材の作成と試用、(2)レベル3の教材の試用結果と評価についての学会報告、(3) レベル5、6の漢字240字の選定、(4) レベル5、6の漢字教材作成のための理工系文章の選定・リライト、(5) レベル5、6の漢字の字義の分析、(6) レベル5、6の教材のプロトタイプの作成、を予定していた。平成27年度は上記のうち、(1)レベル4の教材の作成と試用、 (2)レベル3の教材の試用結果と評価についての学会報告を行った。一方、(3) レベル5、6の漢字240字の選定、(4) レベル5、6の漢字教材作成のための理工系文章の選定・リライト、(5) レベル5、6の漢字の字義の分析、(6) レベル5、6の教材のプロトタイプの作成については、<研究実績の概要>に述べたように、レベル3、4の試用結果からレベル4以降の学習漢字数、レベル5以降の漢字選定方針を見直すこととなったため、計画の変更が生じている。これらの変更は、より実用性、汎用性の高い理工系漢字学習ロードマップ作成のために必要なものだと認識している。平成27年度後半にレベル5以上の漢字選定のための基礎調査を開始した。具体的には、(1)英語の基礎科学用語に対応する日本語用語の調査、(2)理工系研究室での生活で学習者が目にする漢字語彙の調査である。(1)については、ほぼ基礎調査を終えている。(2)については用語の収集作業に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、レベル5以上の漢字選定に向けての(1)英語の基礎科学用語に対応する日本語用語の調査、(2)理工系研究室での生活で学習者が目にする漢字語彙の調査を終え、結果をまとめる。それらを踏まえて、レベル5~レベル7の漢字を選定し、理工系漢字ロードマップの原案を完成する予定である。また、教材については、レベル5~レベル7のプロトタイプを作成する。これらの結果について、学会等での報告を行うとともに、3年間の研究期間の成果について、報告をまとめる。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、中間報告のための学会参加の旅費を計上していたが、報告ではなく、論文投稿を行ったため、旅費を使用しなかった。一方、レベル5以上の漢字選定方針に変更が生じ、それに伴う基礎調査のための経費が生じた。具体的には、(1)英語の基礎科学用語に対応する日本語用語の調査のための書籍購入費、(2)理工系研究室での生活で学習者が目にする漢字語彙の収集のためのデジタルカメラ購入である。調査方法を検討する必要があることから、今年度の調査は共同研究者が中心となって行ったため、謝金が生じていない。これらの理由から、当初予定していた使用額との差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、(1)英語の基礎科学用語に対応する日本語用語の調査、(2)理工系研究室での生活で学習者が目にする漢字語彙の調査のまとめのために、謝金を必要とする。また、学会等での発表を行うために旅費、報告書作成のための印刷費を使用する。平成28年度を通して、コピー用紙、ファイル等の消耗品が必要である。
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