2014 Fiscal Year Research-status Report
日本留学の長期的成果~グローバル展開と次世代への波及
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26370603
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 京子 名古屋大学, 国際教育交流本部, 教授 (60236578)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本留学 / 留学の長期的成果 / ラテンアメリカ / 元留学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
留学の長期的成果についての先行研究を確認し、平成27年度からの現地調査の準備を始めた。 準備として、調査者自身による先行研究の報告をスペイン語に翻訳し、今後の協力者たちと共有できるようにした。また、横浜国立大学におけるラテンアメリカと日本の文化交流に関するシンポジウムに参加し、元留学生たちの留学後の状況について情報を得るとともに、参加したラテンアメリカ出身の元留学生たちと面会し、来年度以降の協力について依頼をした。面会の中で、パラグアイには元留学生たちが設立した学校・大学が存在し、政府の認可を得て、日本文化を大切にした教育が行われつつあることがわかった。留学後20年、30年を経てみられる成果として注目に値する。 さらに、平成27年度に調査を行う予定の中央アメリカ2カ国の日本大使館および元日本留学生会と連絡をとり、調査日程や場所の調整を始めた。元留学生のうち現在日本で働いている一人とは直接面会し、留学後の様子について聞き取り調査をするとともに、現地調査について打ち合わせをした。 元留学生の子どもたちとの面会については、依頼を複数したが具体化せず、今年度は見送り、来年度以降可能性を探る予定である。 これまでの調査では、日本への留学生送り出しが比較的少ない中央アメリカの国々では、帰国留学生たちがより団結している傾向がみられる。この傾向には、国の面積が比較的小さく元留学生たちが対面で交流しやすいという物理的な理由や、少数だからこそ経験を共有し大切に保持して周りの人々や次世代に伝えたいという意思が感じられる。現在のネット社会で、留学成果がどのように世界に発信されているかも、来年度からの課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
エフォート30%で予定したが、勤務大学での組織運営業務が予想よりも多くなり、本研究に使える時間が10%に満たなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後現地調査を行うにあたって数回の旅行が必要である。航空券をエコノミークラスで予算計上していたが、現状では時間的・体力的にこのクラスでの旅行は難しい。そのためビジネスクラスでの渡航を予定している。予算内で調査を行うために出張回数や日数を調整する必要がある。全体の調査人数も当初の予定より減ることが予想されるが、対象国では元留学生会の協力が全面的に得られる予定であり、質の高い効果的な調査が実現できる予定である。 留学成果のグローバル展開については貴重なデータが得られると考える一方、次世代への留学成果の波及については、初年度の経験から、元留学生の子どもたちへの直接の聞き取り調査に協力を得ることは難しいと予想される。元留学生である親たちから見た、次世代への影響に焦点を移す可能性が強い。
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Causes of Carryover |
勤務大学で、運営支援に関わる業務が予想よりも多かったため、聞き取り調査のための依頼や日時調整作業が予定通りに進まず、旅費や人件費が予定よりも少額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
勤務大学において授業のない期間を利用して、効果的に調査を進める。
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