2016 Fiscal Year Annual Research Report
Recognition of Paralanguage Speech Acts
Project/Area Number |
26370606
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
福岡 昌子 三重大学, 地域人材教育開発機構, 教授 (70346005)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 音声 / 第2言語習得 / パラ言語的情報 / 知覚 / 日本語学習者 / 心的態度 / 感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラ言語的情報(para-linguistic information)は,文字でも伝達可能な言語的情報の上に,F0(高さ),Duration(長さ),Intensity(強さ),発話全体のSpeech Rate(発話速度)を含め様々な音声要素が複雑に関係するため,その解明が難しい。特に日本語学習者はパラ言語的情報の習得が難しく,指導の確立が急がれる。 本研究では,「聞き手」である日本語母語話者や日本語学習者は,話者が制御できる心的態度(mental attitudes)と話者が制御できない感情(feelings)のパラ言語的情報としてのメッセージ(話者が伝えようとしていること)について,どのように強調の順位付けをして知覚しているか明らかにする。また,そこに言語の普遍性や個別の言語依存性がどのように影響するかについても明らかにした。 最終年度では,中国,韓国,オーストラリアで再調査を行って,研究をまとめた。 研究の結果,「聞き手」である日本語母語話者や中国・英語・韓国語を母語とする日本語学習者は,話者が制御できる心的態度や話者が制御できない感情表現に関わらず,パラ言語的情報としてのメッセージの強さを,F0が高くDurationが長い音声>Durationが長い音声>,F0やDurationの強調のない音声>Speech Rateが速い音声の順に知覚した。即ち,日本語母語話者や日本語学習者は,強調部分を高く長く発話した音声>長く発話した音声>強調していない音声>発話速度の速い音声の順であると共通に認識した。言語の普遍性の程度が自然音声66%で,強調順位が一致していた結果から,言語の普遍性の可能性について示唆した。また,知覚結果やアンケート結果から,日本語母語話者は「かなしい」などのネガティブ感情には逆順位化傾向が見られ,日本語のパラ言語的情報の個別性を示唆した。さらに,日本語学習者は,撥音や促音など特殊音含むパラ言語的情報を知覚する場合、その知覚習得も難しくなる傾向があることを示唆した。
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