2016 Fiscal Year Research-status Report
対話型アセスメントとPAC分析を援用した児童生徒のバイリンガリズムに関する研究
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26370612
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
吹原 豊 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (60434403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
助川 泰彦 首都大学東京, 国際センター, 教授 (70241560)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 対話型アセスメント / バイリンガリズム / 教科学習 / 参与観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年(当初予定)にあたる平成28年度は、茨城県東茨城郡大洗町(以下、大洗町)でのフィールドワークを、研究分担者の助川泰彦氏が単独で実施したものを含め、合計7回実施した。主に行ったのは以下の5点である。 第1に、過去2年度と同様、本研究の主要な対象であるA家を訪問し、家庭での言語使用や長男の家庭学習等に関する参与観察を行った。A家では次男も小学校に入学したため次男に関しても長男と同様の参与観察を行った。第2に、小学生から高校生までの複数の子どもたちを対象に日本語使用、教科学習、将来展望などについて聞き取りを行った。第3に、大洗町内にある中学校2校を訪問し、CLD児(Culturally and Linguistically Diverse Children:文化的、言語的に多様な背景をもつ子ども)を対象とした日本語クラスを見学したほか、進路指導担当教員から同校に在籍するCLD児の就学上および高校進学に際しての課題を聞き取った。第4に、茨城大学の教員および学生が主宰する地域の日本語教室「日本語ワールド大洗」において、子どもたちと日本人ボランティアの相互作用についての観察を行った。第5に、かつて大洗の中学校で学び、インドネシアに帰国後、高校に進学し、現在は地元の国立大学に在籍している人を対象に、日本の中学校での経験や日本語使用、帰国後の言語使用や進学等についての聞き取りを行った。 以上を行ったほか、平成27年度の研究成果の一部をまとめ、日本語教育学会の研究集会(中国地区)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1. 調査初年度にA家の長男が大病に罹患し、長期の療養が必要になったことの影響による。 2. 研究初年度および2年度目に研究分担者、連携研究者が長期に休職したり、異動によって本研究に注力できなかった事情による。 3. 主要な調査手法として考えていたPAC分析による調査が実施できていないため。(背景として、当該手法を用いるにあたってのいくつかの課題をクリアできていないことが挙げられる)
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗状況の遅れのため、科研費の補助期間延長申請を行った。幸い申請が受理されたため、今年度中に可能な範囲で調査のまとめを行いたい。具体的には以下のことを考えている。 1.A家の長男の病状がかなり快復してきたため、長男を対象としたDLAを実施する。また、その評価に関して長男の小学校担任教諭のフィードバックを得る。 2. A家の長男に関しては、これまでの参与観察によって得られたデータをもとに、バイリンガリズムと教科学習の関連についての分析を行う。 3.連携研究者との間で、PAC調査を行うことの実現可能性等についての検討を年度の前半に終え、可能であればA家の両親(もしくは母親のみ)を対象に実施する。 4.学齢期を日本で過ごしたインドネシア人を対象とした聞き取りデータをもとに、バイリンガリズムと教科学習および高校進学、将来展望などの関係について考察する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れていることもあり、平成28年度末に補助事業期間延長申請を行い、認められた。平成29年度に引き続き調査研究を行うため平成28年度分の使用額の一部を平成29年度分として繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
やり残した研究課題の達成のため、年度内に5回程度は大洗町に足を運び、フィールドワークを行う予定である。また、研究成果の報告のため学会や研究会での発表を行う予定であるため、そのための旅費が必要である(旅費)。また、調査の補助員として、あるいは調査結果の一部をインドネシア語に翻訳するためインドネシア人の留学生をアルバイトとして雇う予定がある(人件費・謝金)。さらに、必要に応じて関連する書籍も購入する予定である(物品費)。
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Research Products
(6 results)