2015 Fiscal Year Research-status Report
タイの教師間協働の実証的検証と協働実践を促進するネットワーク構築に関する基礎研究
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26370613
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 英治 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (50546322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 薫 摂南大学, 外国語学部, 教授 (40346581)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教師間協働 / 協働の概念 / 日本語教師のアイデンティティ / 日本語教師のビリーフ / ロールモデル的先輩教師 / 仕事・母語への理解 / 日本語キーパー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、タイの日本語教育の教師間協働を支援するためのネットワーク構築とその活用を支える協働授業の推進、協働授業の検証を行う研究である。 具体的な内容は、①日本人教師がタイ人教師とどのような協働を経験するのかがわかる仮説モデルを精緻化すること、②仮説モデルを利活用して、協働の普及をはかること、③新たに開発する評価シートで協働授業を検証し、改善すること、④協働の検証や改善の中から、協働の有無や広がりを表す協働促進マップを作成すること、⑤協働の課題や授業計画、協働に役立つ工夫・技術集(Teaching Tips)をデータ化することなどである。これらの協働実践の拠点と成果物をつなげ、教師間協働支援のネットワークがタイにできれば、タイの日本語教育現場に教師間協働からデザインされる新しい教育方法にも波及効果が期待できる。 この研究の初年度にあたる平成26年度の研究実績は、1.研究体制の組織作り、2.協働の研究のための全体的な打ち合せ、3.仮説モデルの精緻化の作業、4.評価シートの開発作業の4つであった。 続いて、研究の中間期にあたる平成27年度の研究実績は、初年度の全体的な研究の体制作りをふまえて、タイの日本語教育機関に調査を依頼し、協働の経験を持つ日本人教師やタイ人教師らに協働に関するインタビュー調査を実施したことである。この研究調査の結果からわかったことは、①「教師間協働」の概念の多様性と再定義の必要性、②理想的な協働を実践する教師のアイデンティティやビリーフ、③協働を促進する現場の工夫などが明らかになった。 この他、検証のための協働ルーブリックや評価シートなどの開発に関しても、協働現場の様々なニーズに対応するべく、開発を継続しており、その一部は成果発表の際に公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究組織をふまえて、今年度は調査の実際に進んだが、予定通り、研究代表者の研究調査によってタイの専門学校、高等学校で協働を実践しているに日本人教師やタイ人教師にインタビュー調査をすることができた。また、研究分担者の研究調査によっても、同じようにタイの複数の教育機関でインタビュー調査を実施することができた。 検証のための評価シートや協働ルーブリックについても開発中であるが、引き続き各教育機関の協働を実践している教師らに開発中の資料を見てもらい、さらに資料の改善を進めていく予定である。 仮説モデルの精緻化の作業は、これらのデータの分析が終わった段階で、これまでのデータとの突き合せを行ない、教師間協働の精緻な協働体験モデルを構築する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究課題に関する今後の推進方法は、次の通りである。1.今年度実施したインタビュー調査のデータの詳細な分析、2.調査協力者や研究分担者との打ち合せを通じて評価シートや協働ルーブリックを改善、3.インタビュー調査で明らかになった理想的な協働に関する成果発表などである。諸々の研究成果が明らかになったあとでは、調査に協力していただいた機関へのフィードバックを行い、協働の実践の促進をはかる。
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Causes of Carryover |
研究の初年度平成26年度の打ち合せ会の回数減や評価シートの開発の遅れが、引き続き平成27年度にも残り、研究協力者との打ち合せ会の費用などが残った。また、平成27年度の終わりにタイの年次セミナーにて行う予定の成果発表が本務校の業務と重なり実施できなかったので成果発表のための出張費が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は最終年度にあたるので、研究調査を実施して得たデータの分析を終えた後で、いくつかの成果発表を控えている。また、最終的な報告書の印刷も予定しているので、いただいている予算の配分をあらためて考えて使用していく予定である。
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Research Products
(1 results)