2016 Fiscal Year Research-status Report
移住者の声を基にした地域日本語学習教材の開発-「参加」と「発信」の実践的研究
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26370614
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
八木 真奈美 駿河台大学, グローバル教育センター, 准教授 (20579164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 摩希子 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (80409721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域日本語教育 / 移住者の声の発信 / ナラティブ / 移住者の社会参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本に住む永住者の増加を受けて、これまでの地域日本語教育研究・実践において「生活者」と捉えられてきた移住者を「多言語多文化貸本を持ち、共に社会を築く者」として捉え直し、移住者の社会参画を目指した学習教材の開発をするものである。教材は移住者自身の声である「語り」をテーマとし、語りの収集、教材開発、実践のどの段階においても移住者の活動への参画を促すと同時に、PDCAサークルに基づいて教材並びに実践の効果を検証するものである。 平成28年度はPDCAサークルの【CNECK・ACT】にあたり、実践の開始が主な予定であった。実践はすでに前年度から行なっており、平成28年度は平成27年度の実践の一部を継続する形で進めた。実践は計画より進んでいるが、リスト化した語りデータを教材化する作業は慎重に進めた。その理由は、【CNECK】にあたる実践のフィードバックを行った結果、実践の場所、目的、対象者によって、使用したい語りデータの提示の仕方が異なるがことがわかったからである。そのため、対象者や目的を絞ったいわゆる「教材」の形式より「リソース」として広く使えるように教材全体を見直した。このフィードバックの結果を踏まえ、試作版の作成に着手した。 また、国内にある地域日本語教室等で作成された教材のうち、「語り」を使って作成された教材の先行事例調査を拡大した。平成26年度は東京、埼玉、千葉、神奈川の関東地域のみであったが、平成28年度に大阪、兵庫、京都の関西地域、加えて海外事例についても調査を行った。研究の成果は、2016年度日本語教育学会春季大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画は①試作教材を使って実践を開始することであった。実践に関しては、平成27年度にすでに2カ所での実践を開始しており、計画通りに進んでいるといえる。②支援者養成に関しては、平成27年度に行った実践において、2名の移住者が学習支援者として参加しており、概ね順調に進展しているといえる。語りデータの教材化に関しては実践のフィードバックを丁寧に行ったため、若干計画より遅れているが、フィードバックを踏まえた試作版の作成にすでに着手しており、平成29年度早々に完成見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、①教材の改訂、②実践の拡大である。①に関しては、平成27、28年度の実践のフィードバック結果を踏まえ、試作版を完成させる。②に関しては、完成した試作版を公開するとともに、使用したい個人や期間を公に募り、実践を拡大する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に教材試作版の制作費(デザイン・イラスト外注、研究補助者雇用)、印刷費、翻訳費を予算化していたが、実践のフィードバックを十分に教材に反映させるため、試作版の作成には着手したが、完成までには至らず、予算を執行しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度前半には試作版が完成する見込みであるため、制作、印刷費等に使用する予定である。
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