2015 Fiscal Year Research-status Report
コーパス情報を利用した作文学習支援システムの開発と評価
Project/Area Number |
26370620
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
田中 道治 京都外国語大学, 留学生別科, 教授 (70321271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 保茂 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (90257775)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語教育作文教育 / 作文支援システム / 日本語語彙教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の計画は前年度収集した母語話者コーパスとWEBコーパスを対象に、語彙情報(語彙・コロケーション)を抽出したうえで作文支援システムに組み込む辞書(トピック別語彙・コロケーション辞書)を作成することであった。27年度中に次の作業を終えた。 (1)12トピックについて前年度収集したデータを統合した「トピック別統合コーパス」を作成した。(2)そのコーパスを使い、トピックごとに品詞別・頻度順語彙リストを作成し、母語話者5名合議によりリストを完成した。(3)リストの名詞・サ変名詞を中心語、統合コーパスを対象にすべての語についてコンコーダンス結果をまとめ、複合語ならびにコロケーションのリストを作成した。(4)さらに、それぞれの語の使用例を付加した。使用例文は当該トピックで論述文を作成する場合に背景知識として価値の高いと思われる文を収集した母語話者作文、WEB上の当該トピックを論じた文書から選び、優先的に採用した。 トピックによって抽出された異なり語数の差が大きい。また抽出する語彙・コロケーション情報の量的差もかなりの程度ある。本研究で重視する語彙の使用例に関しても、相当な検討をしながら作業を進めることになり想定した以上の作業をともない、計画にやや遅れがあった。しかし、作文トピックに応じて、その語彙・コロケーション、さらに使用例を参照できるデータを提供することができれば、通常の辞書(コロケーション辞書を含め)では得られない情報を提供でき、より合目的の辞書を備えた支援システムが構築できると確信する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
12のトピックについて計画していた辞書構築作業を行う時間が想定していたものをはるかに超えたため、計画していたトピック12すべてについて、完全に計画内容を終了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、語彙・コロケーション辞書の完成を急ぎ、作文支援システムの試用版を夏までに作成し、その後の試用・評価を経て完成させたいと考えている。 データ量も相当なものとなり、限られた研究期間のなかでの優先順位を考えれば、扱うトピック数も再考が必要になる可能性もある。作文支援システムが提供する情報ならびに支援方法の有効性が確認されれば、研究終了後もトピックを増やしシステムを充実させていくことが可能である。そのことを考えれば、トピック数よりも提供される情報の質、システムの構築方法を充実させるべきだと思われる。 今後は、当初の計画には沿いながら上のような基本的な方針のもと進めていきたい。
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Causes of Carryover |
作文支援システムの試用版を作成予定であったが、試用版作成に必要なデータが不十分であったために、その費用として見込んでいた金額が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の前半に作文支援システムの試用版とその改訂版を作成する予定であり、そのために本年度分助成金と合わせて支出予定である。
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Research Products
(1 results)