2014 Fiscal Year Research-status Report
予定調和を崩す構造を備えた外国語アクティビティの開発と研究:即興劇の手法を用いて
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26370630
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
三野宮 春子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 講師 (90632406)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 英語アクティビティ開発 / ワークショップ開催 / コミュニケーション分析 / 研究者と実践者の交流 / 概念モデル構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外国語教育における「創造的で協働的な言語使用」と「学習者の全人的成長」への貢献を目的とし、「時々刻々と状況を変化させて予定調和を崩す構造」を備えたアクティビティを開発することを目指している。平成26年度は、ワークショップ開催とデータ収集、海外のインプロ・応用インプロのプログラム等視察、口頭発表や論文発表等を3つの柱として研究を推進した。 (1) 外部講師を招き2度のワークショップ(1度目は即興演劇、2度目はカードゲーム)を開催した。その際に撮影したビデオデータ(参加者の了承を得て撮影)をもとに、アクティビティが作り出す力動的状況における言語使用の創造性・協働性について解明すべく、コミュニケーション分析を行っている。 (2) インプロと外国語教育の交差点に理論と実践の両面から接近するために、カナダで開催されたインターナショナル・インプロ・スクールを受講した。また、TESOLインターナショナル学会で応用インプロのワークショップに参加した。 (3) 日本教育心理学会第56回総会と全国英語教育学会第40回徳島研究大会における口頭発表、神戸市外国語大学研究叢書の編集・刊行を行った。また、ワークショップの内容などをホームページ(http://kekekepa.wix.com/sannomiya、ならびにhttps://www.facebook.com/LabSannomiya)に掲載し、より多くの(外国語)教育関係者にインプロや創造的アクティビティの魅力を伝えられるよう努めている。さらに、来年度からアクティビティ開発に興味を持つ人々との勉強会を定期的に開催すべく「英語アクティビティ工房2015」を結成した。 以上(1)~(3)について「現在までの達成度」の欄で詳細に述べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した研究計画が「おおむね順調に進展している」と評価できる根拠を、上述の3つの柱に沿って以下に示す。 (1) 外部講師ワークショップ1度目は、10月の宮本万里氏による「Drama x English」である。計4つのセッションに演劇経験のある大学生のべ56名が参加し、英語でインプロのワークやゲームを行った。2度目は1月に福元和人氏の「語りの即興性・創造性・協働性で遊ぶ:カタルタ開発者によるワークショップ」で、即興的にアイディアを誘発して言語化するゲームを体験した。のべ65名の大学生・大学院生・社会人が計4つのセッションに参加した。参加者からは、創造的に英語を使う知的な喜びと、普段の凝り固まった発想や言語使用を省察するコメントが多く寄せられた。 (2) カナダで開催されたワークショップと学会に参加した。まず7月にルースムース劇場においてinternational improvisation schoolの受講した。経験豊富なファシリテータのもと、世界各国からの参加者と意見交換をする機会を得た。次に3月にトロントで開催されたTESOL Internationalの学会で、応用インプロの発表やワークショップを見学し、国外の動向をつかむことができた。 (3) 1つめの日本教育心理学会第56回総会における「偶発的・即興的に生起する学びの探究―明日の教育をパフォームする実験的発表」の共同発表では、自作映画上映・ミニワークショップ・事例研究などを含むシンポジウムを開催した。2つめの全国英語教育学会第40回徳島研究大会においては「教室談話を変えるアクティビティ開発:授業理解と教師教育」を共同発表した。最後に『神戸外国語大学研究叢書』第56号「授業談話を変えるアクティビティ開発: 教師が手作りする授業」を編集・刊行した。本書では「習得モデル」に代わる「変容モデル」の英語学習を提案している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、以下の4点において研究活動を進展させる予定である。 (1) 「外国語学習における創造性」について理解を深める。そのために、文献調査と概念整理を継続して行う。また、国内外のワークショップや勉強会へ積極的に参加し、自らが応用インプロの実践者として経験を積むとともに、他の実践者たちと意見交換を行う。もし機会に恵まれれば、今年度も先進的な教育プログラムを視察したい。 (2) 前年度同様、インプロヴァイザーを招聘してワークショップを開催し、参加者にインプロの手法を用いた英語学習(教育)を体験する機会を提供するとともに、研究のためのデータを収集する。現時点で、5月にJoelle Sarrailh氏のワークショップ、6月に宮本万里氏の「WORKSHOP2015 English Education x Creativity」の開催が決まっている。 (3) 即興性・協働性・創造性を3つの柱として、全人的(思考・身体・感情の統合)発達の場としての英語学習アクティビティを開発する。開発成果を公表するためのワークショップも開催する。現時点で、6月関西英語教育学会での共同ワークショップ開催が決まっている。さらに、アクティビティ開発に関心を持つ大学生・大学院生・現職教師・他と協働で学び合う場として「英語アクティビティ工房2015」を定期的に開催する。 (4) 研究から得られた学術的知見をまとめ、論文発表、口頭発表、雑誌などにおいて公表する。現時点で、5月17日JALT PanSIGでの単独口頭発表、『CHART NETWORK』vol.76(数研出版)、TEACHING ENGLISH NOW』特別増刊号vol.2.(三省堂)が決定している。また、ホームページの更新も、引き続き定期的に行う。
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Remarks |
「英語アクティビティ工房2015」はグループ限定のページ。
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