2014 Fiscal Year Research-status Report
外国語学習における学習者と教員の共振動化を実現する空間創出のための方法論の研究
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26370645
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
山本 玲子 大阪国際大学, 国際教養学部, 准教授 (60637031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 保茂 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (90257775)
野澤 孝之 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60370110)
JEONG Hyeonjeong 東北大学, 加齢医学研究所, 研究員 (60549054)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 同調 / 超小型近赤外分光測定装NIRS / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
授業内における教員の言語・非言語活動により誘発される学習者と教員の共振動が学習者の学びを発生・増幅させるという視点から、外国語学習における学習者と教員の共振動化を実現する空間存在を検証することを目的として研究を行った。本年度は、授業のビデオ収録と同時に超小型近赤外分光測定装置により教員と学習者の脳内活動を測定する実験を実施した。具体的には、Eメールを介した打ち合わせ・準備ののち、2014年10月、私立中学校の第1学年に在籍する生徒18名と授業担当教諭1名を被験者にして、生徒被験者18名を9名ずつのグループA・Bに分割し、1回の授業(50分間)に、15分間の学習促進活動と35分間の言語活動を設定した。本実験後、第1回研究打ち合わせを開催し、収録したビデオ解析の手法、論文投稿及び今後のスケジュールについて打ち合わせを行った。その後、Eメールでの打ち合わせをともないつつ、収録したビデオにもとづく身体・言語活動面での共振動化の解析と、超小型近赤外分光測定装置による教員と学習者の間での脳活動同調という側面での共振動化の解析を分担して行った。研究成果としてまず第1に、学習促進活動おけるグループ間での共振動を比較した結果、観察上の主観的印象でのよりエンゲージメントが高く楽しんでいるように見えたグループBにおいて、グループAよりも共振動が有意に高かったことである。第2に、各グループにおける学習促進活動と言語活動での共振動を比較した結果、両グループともに、一部の時間スケールではあるものの、学習促進活動の共振動は言語活動のそれより促進が見られたことである。その結果、教員と学習者の共振動化を実現する空間が存在することが結論付けられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生徒被験者18名を9名ずつのグループA・Bに分割し、1回の授業(50分間)に、15分間の学習促進活動と35分間の言語活動を設定し、グループAは、初日にまず学習促進活動を実施し次に言語活動を実施、翌日にはその逆を実施した。グループBは、初日にまず言語活動を実施し次に学習促進活動を実施、翌日にはその逆を実施した。期待された結果は、先に学習促進活動を行った場合の方が、その後の言語活動において教員と学習者の共振動化が促進されるというものだったが、超小型近赤外分光測定装置NIRSによる脳活動同調測定結果からは有意差が確認されなかった。期待された結果が得られた場合、さらに異なる学習促進活動で追加実験を行うことを予定していたが、今後は、完全に統制のとれる実験室での実施や大学生を被験者とする等の変更を検討する必要が出てきたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本共同研究で明らかになった教員と学習者の共振動化を実現する空間が存在するという成果は、言語活動における教員と学習者の共振動的活動が、学習者の言語形式、教員の意図及びタスクへの気づきを発生・増幅させ、効果的な言語習得に繋がるという視点から、教員と学習者の関係性に着目する萌芽的研究の発見に結びつき、今後の発展が期待されている。ビデオ解析結果と教員学習者脳活動同調のwavelet transform coherence(WTC)解析結果に基づき今後の研究の方向性を議論した結果、言語活動におけるより統制を強めた、型にはめた共振動的活動による学習促進効果を追求していく。さらに今後、共振動化を発生しやすくする教員の言語・非言語活動や環境要因を特定するべく実験を重ね、将来的に共振動化を実現する空間創出のための方法論の開発へと繋げる予定である。
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Causes of Carryover |
実験結果が期待と異なる部分があったため、実験デザインを変更し再実験を行うことになっており、研究成果の発表にまで至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
被験者を中学生とし中学校教室を実験場所としていたが、完全に統制を取れる研究室で、被験者や結果の評価者を外部委託することを考えており、その謝金に使用、また成果の発表の旅費に使用する計画である。
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