2014 Fiscal Year Research-status Report
インタラクティヴなドイツ語作文添削システムおよびweb学習システムの開発と評価
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26370664
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗山 暢 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (60251386)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | e-learning |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、web学習システムの構築にもっぱら力をそそいだ。web学習システムのうち、主に学習者の利用するページにさまざまな機能をあたえることが、開発の中心となった。 学習者の利用するページの機能のうち、主なものは、正解か不正解かを異なった色で示す入力欄・(大きな問題に関しては)正解に達するまでに要した解答回数を表示する欄・入力欄をリセットしたり復元したりする機能、ページにブックマークをつけあるページを見ている時にダイアログの形でほかのページを参照する機能、ページのテキストの任意の位置にメモを貼りつける機能、全文検索機能、未回答の入力欄を示す機能、などである。 システムを実際に試験的に運用しつつ、ユーザ(学習者)に批判的な意見を寄せてもらいながら、ユーザにとって使い勝手のよいシステムとはなにか模索した。教師の視点からではなかなか気づくことの難しいような指摘をいくつか受け、システムのユーザビリティの向上に貢献した。たとえば、「正解に達するまでに要した解答回数」の表示は、そういうものが欲しいというユーザの要望を受けたものである。また、不用意に教材内のページを移動しても、入力だけしてあってサーバに送信(して正誤判定)する前のデータも保存して、再びそのページを開いた時にそのデータを復元する、なども、ユーザの指摘にこたえたものである。 システム自体の構築とは別に、試験的に運用するためのコンテンツの開発も行った。違ったタイプのコンテンツを開発することによって、システムの汎用性およびユーザビリティの向上をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
web学習システの機能で上に挙げたものは、すべて、ひととおりの実装を終えた。クライアント側のプログラムは、javascriptに加え、jQueryおよびjQueryUIを使用し、コンテンツを動的に作成した上で、ユーザが直観的に操作できるような仕様を目指している。また、可能なかぎりユーザーフレンドリーなものとなるように細かく配慮して、既存の類似のシステムとの差別化をはかった。たとえば、別のページをダイアログで示す際、ユーザがそのページを見る意図が比較的明瞭なものについては、ダイアログの位置や大きさを記憶して、再びそのページがダイアログで開かれる時にそれを再現するなどした(ブックマークのダイアログなどがそれにあたる)。 基本的な機能のうち、独立性の高いふたつの機能はjQueryのプラグインとしてまとめた。ひとつは(ダイアログで)示す図版のサイズをユーザが変更できるようにする機能、もうひとつはメモの貼りつけ機能である。後者は、javascriptの提供するTreewalkerオブジェクトを利用してページの中のテキストノードのみをたどってメモを貼りつける位置を一意に決定するというもので、汎用性の高いものとなっている。前者については投稿中の論文で、後者についてはいずれかのwebサイトで公開する予定である。 サーバ側のプログラムにはRubyを用いた。テキストファイルからHTMLを作成するクラス、問題や答えおよびその照合を管理するクラス、ユーザを管理するクラスなどを作成した。 同じくRubyで作成しているドイツ語作文添削システムにも適宜手を加え、例外(エラー)の発生頻度を大幅に減らすことができた。 教材コンテンツは、ドイツ語と高校世界史を作成し、前者については試験運用を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーザ用のページにいくつかの機能をつけ加えたい。現在のところ、ユーザ用のページにログインするには、学習者モードと教師モードのふたつがある。初期状態では前者はすべての問題が未回答の、後者ではすべての問題がすでに正解を入力された(すなわちクリックすることによって正解が表示される)状態となっている。これに自習者モードを加え、教師モードにつけ加える予定のクラス管理用の機能を除外した現状の教師用モードの機能のみを付加するようにしたい。ユーザが正解を見ながら教師なしで学習するためであるが、問題によっては、テキストには明示していない問題の意図やヒントなどを学習者に示すことになるかも知れない。 教師用のページでは、学習状況をリアルタイムで把握する機能をつけ加える予定である。教室において学習者に問題に答えさせながら授業を進める際に、すでに正解を入力した学習者の数を知ることによって、授業の進行速度を調節できるようになることが期待される。また、特定の学習者の学習状態をビジュアルに知ることができるよう、学習者個々の学習履歴を反映した(すなわち学習者に見えているのと同じ)ページを教師が参照できるようにする予定である。 教材コンテンツについては、世界史の教材を整備し、試験運用を始めたい。また、さらに別様のコンテンツになることを期待して、英語の教材の作成にも着手したい。 ドイツ語作文添削システムのインタラティヴ化、高速化の準備も始める予定である。学習者のおかす誤りのうち、システムが学習者の意図を明確に知らないまま(いわば独自に推量しつつ)メッセージを発しているものをあらい出し、それぞれについてどのような観点で学習者に意図を問い返すべきか、検討したい。
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Causes of Carryover |
今年度は、予定どおり、開発用サーバの購入・構築、世界史コンテンツの作成、そのための打ち合わせのための旅費を支出した。次年度使用額はそれらを支出したあとのわずかな残金であり、使用計画を大幅に見直す必要のあるような性質のものではない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定どおり、公開用サーバの購入・構築、英語コンテンツの作成およびそのための打ち合わせの旅費を支出する。公開用サーバについては、開発用サーバの導入と時期をずらすために、翌年度にまわすことになるかも知れない。その場合には、研究成果を発表するための学会参加も考えている。
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