2015 Fiscal Year Research-status Report
インタラクティヴなドイツ語作文添削システムおよびweb学習システムの開発と評価
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26370664
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗山 暢 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (60251386)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | e-learning / ドイツ語作文 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、web学習システムのうち、学習者向けのページの完成度を高めることをもっぱらの活動とした。昨年度から実装した、本システム独自のものである、学習者のためのメモの貼り付け機能、複数ページを同時に閲覧することを可能にするbookmark機能の実装を見直し、よりいっそう堅固なものとした。また、学習者の自発的な復習をうながす、入力のリセット・リストアについて、送信されていないデータのあつかいを再考し、たとえば、リストアした時に、入力欄には正解が入力されているにもかかわらず、それが不正解であると表示されるような不具合を解消した。 コンテンツの開発は、従来のドイツ語だけでなく、高校教諭の協力を得て、高校世界史のコンテンツの作成もおこなった。世界史のコンテンツを作成することにより、ドイツ語コンテンツの作成だけでは見えていなかった課題に気づくことができ、本システムの汎用性を高めることができた。 実際の運用では、ドイツ語の授業で2クラスで計およそ80人、世界史の授業で2クラス計およそ100人の学習者に本システムを試験的に提供した。そのことによって、ユーザの利用方法の実態についての知見を得ることができた。 ドイツ語作文添削プログラムのインタラクティヴ化については、なにか実装をすることはなかったが、作文の入力とそれに対するシステムのリスポンスのログを増やすことができた。来年度以降のインタラクティヴ化にあたって有益なデータとなることが期待されるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に述べたとおり、システムの実装については、javascriptによるユーザ提示用のページは順調に進んでいる。Rubyによる、ドイツ語作文システムのインタラクティヴ化は、実装自体は未着手であるものの、そのためのデータの収集は着実に進展している。 ユーザの感想・意見を自由に書いてもらったところ、高校世界史のユーザから次のような意見があり、興味深かった。「タブレットで使っていた。わざわざ紙の教科書を引っ張りだして勉強するのはちょっとハードルが高いけれど、タブレットだと、Twitter などを見たあとでそのまま楽にweb教科書を見ることができ、世界史の勉強時間が増えたと思う」。「検索機能を使うと、概念の理解を深めることができる。例えば、「荘園」という語を検索すると、どの地域で、いつごろにそれが存在したか(しなかったか)を知ることができ、荘園というものの特質についての理解が深まった気がする」 ついパーソナルコンピュータ中心に開発を進めてしまいがちなところを、こういう意見を実際に目にすることで、軌道修正することができた。 ある程度まとまった数のユーザに使用してもらうことで、システムのうち、さらなる高速化をする必要のあるところの存在を確認することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、ユーザに提示するwebページのうち、教師(管理者)用のページの作成を開始したい。これまでの教師用のページの機能は、ほぼ、効率的に正解を表示することのみであったが、現在利用しているユーザの学習状況をリアルタイムに把握して、対面で行う授業において正解を提示するタイミングを教師に示すなどすることができるようにしたい。 学習者の学習履歴を横断的に確認して、たとえば、学習が進んでいない学習者にそのことを知らせたり、ほとんどの学習者が正解を入力し終えているようなページについては、まだ正解にいたっていない学習者に正解を教えて以後の独習をうながしたりするメールを送信することができるようにしたい。 そのために利用することになるユーザのログへのアクセスも改善したい。現在は、単に、個別の学習者の個々のページそれぞれのためにログファイルを作っているが、それだと検索にやや時間がかかることが明らかになりつつあるので、データベースソフトを使うなどして、もっと高速にログにアクセスする道をさぐりたい。 ドイツ語作文添削システムに関しては、蓄積されたデータをもとに、その実装に着手したい。 教材コンテンツについては、ドイツ語・高校世界史につづいて、高校生向けの英語の教材の作成に着手したい。協力者と意見交換しつつ、英語ならではの効果的な問題の提示方法について検討したい。
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Causes of Carryover |
システムの公開用webサーバを導入する予定であったが、次年度に見送ったため。今年度は従来のサーバで運用することが(結果的に)でき、また、新しいサーバを構築する時間的余裕もなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度にシステムの公開用サーバを導入するために使用する。web学習システム、ドイツ語作文解析システムの双方を、これにより物理的にも高速化する。
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