2014 Fiscal Year Research-status Report
認知言語学的手法を応用したオンライン英語多義語辞書の開発
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26370682
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻本 智子 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30288758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 賢一 佛教大学, 文学部, 教授 (40154661)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多義語 / 英語教科書データ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知言語学の成果を大胆に取り入れて編纂した『英語多義ネットワーク辞典』の成果を、中学高校の教育現場でも利用可能なように再加工することにより、その成果をより広く教育の現場で実用的に活用していくことにある。初年度はまず、計画通り本研究で記述の対象とする多義語の選定をメインのテーマとし、オンライン辞書としての特色を生かした効果的な提示方法ついて議論を重ねた。 まず中学高校の英語教科書すべてのデータ化とその分析を行った。研究協力者を含め、毎月例会を開き、議論・検討を重ねた。ひとつひとつの基本的な多義語について、教科書の使用例がどの意義に該当するかを丹念に調べ上げ、同時に同じ単語であっても、教科書では使用されていない意義はどれかを特定した。その過程で、数ある多義語の中からとくに中学生・高校生のつまづきの原因となる多義語に記述をしぼるのが効果的であるという結論にたどりついた。 また、オンライン辞書という媒体を最大限に活用できる方法として、先行研究である『英語多義ネットワーク辞典』では、文章と簡単なスキーマ図で解説していた多義的意味の展開を、アニメを用いて提示する案が検討され、議論を経て採択された。当初およそ500語としていた収録語数を100語にしぼり、そのひとつひとつの多義語の記述にアニメを活用することで、中学生・高校生により親しみをもってもらい、授業外でも参照したいと思わせる辞書を目指すことで意見の一致をみた。 現在は、教科書データをもとにオンライン辞書の例文として適切な文章の検討とアニメを用いた多義的意味展開の提示方法について、さらに詳細な議論を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めていくうえで土台となる中学高校の英語教科書すべての英文のデータ化に、予想以上に時間を要した。現在使用されている中学高校の英語教科書は、レイアウトなども大変工夫されており、さまざまなイラストや写真、コラム記事など多種多様な素材が配置されている。そのためデータ化する際、必要な情報をより分けることに時間を要したのである。 それ以外の点では、計画通りに進んているので、今後の研究の進行に支障をきたすようなことはないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画にしたがって、確定した枠組みに基づいて具体的にコンテンツの執筆作業を進める予定である。多義的意味展開の解説にアニメを活用することに決まったため、アニメの表現についても、詳細な議論が必要になってくる。ひとつひとつの語を記述していく上で、プロトタイプとなる枠組みをより明確な形にするために、今年度後半にはオンライン上でパイロット版を作成し、検討する。その過程でアニメの表現についても、学習者の理解を助けるため、解説に使用するアイテムに一貫性を持たせたデザインを考案していく。
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Causes of Carryover |
オンライン辞書の作成のため、オンライン上で辞書データの構築およびホームページの作成に予想をはるかに上回る委託報償費を準備する必要があることが判明した。またアニメの作成も盛り込むことになったため、アニメ作成のための費用も今後必要になる。以上の理由から、初年度の支出を抑え、今後必要になる委託報償費にあてることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後はオンライン辞書のコンテンツを作成していく上で、ホームページ上で思い通りの表示方法を実現するためにどれくらいの費用がかかるのかを考えながら進めていく。専門家に意見を聞くなどして情報収集につとめる予定であるが、主たるユーザーとして想定している中学生・高校生にも親しみを持ってもらえるように、最終的な技術的費用に予算のほとんどを使用することを計画している。
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