2014 Fiscal Year Research-status Report
紙テキストとWeb学習環境を融合した効果的な振り返り学習支援方法の開発
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26370687
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Research Institution | College of Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
杉村 藍 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 教授 (10290181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武岡 さおり 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (10413288)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Web英語教授法 / Web英語教材 / Note Taking / 自律的振り返り学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
紙テキストを用いた英語学習(以下、「紙による学習」)は、教育実践の長い歴史の中で多くの効果的な学習法を生み出してきた。しかしその一方で、最近ではe-learningの急速な普及に伴い、CDなどの電子媒体に加え、VoD(Video on Demand)やWBT(Web Based Training)などが英語学習(以下、「Web学習」)において広く活用されるようになってきている。この新しい学習法の流れは、前者の秀でた伝統的な学習法とは競合関係にある。しかし、いずれか一方の学習法が優先的に普及していくのではなく、それぞれの学習方法の優れた部分を融合させた効果的な学習法を開発する可能性もある。 本研究では、前述した2つの学習法を融合させ、両者の特徴を活かした効果的な英語学習法を開発することを目的としている。そして、授業の中で長年実践されてきたNote Taking手法を用いた「紙による学習」と、そのようにして学習した内容の理解を深めるためにWebを利用した「Web学習」を併用して実施することで、新しい学習法を開発する。それら連続した学習の流れが、学習者の理解を深め、かつ自律的・自発的な学習行動を促すことを意図している。Web学習は、Web環境があれば、学習内容をいつでも好きな時に記録・保存・閲覧することが可能である。その特徴を活かし、学習者はいつでもどこでもそれらの記録を活用した「自律的振り返り学習」を実施することができる。そのような学習の流れを円滑に実施する仕組みと、それを支援する「総合英語Web学習支援システム」を開発した。 今年度は学習実験を行なった際Web理解度テストにおいて問題表示に時間がかかったため、利用者が多い場合のデータ信号のスムーズなやり取りについてUniversity of Leedsの Language Centre担当者に相談し、助言をいただいている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は①「調べ学習」の開発、②「Web理解学習」の開発、③Webデータベースの開発、④「自律的振り返り学習」の開発、⑤Web学習支援システムの開発、⑥紙テキストやWebテキストなどの学習教材の開発の6つを予定していた。 このうち①「調べ学習」の開発については実際の授業で紙テキストを用いて実践的に行なっている。⑥の紙テキストやWebテキストなどの学習教材の開発についても、教材提供を受けている(株)浜島書店の教材を元に、英文テキスト、和訳、語彙、配布用紙テキスト、問題など部品ごとにWebデータベースに登録できる形で実験授業に必要な分を用意できている。②~⑤の「学習支援システム」に関連した部分の開発も基本的な部分は一通り済んでいる。 ただし、⑥の学習教材の開発のうち、リスニングに関する部分は、音声を搭載するシステム開発が難航しており、一部教材で試験的に実施してはいるが、まだ授業での実践には至っていない。また、用意したリスニング用音声をどのように活用できるか、リスニングだけでなくシンクロ・リーディングやシャドーイングなどスピーキング用にも利用する方法を併せて検討し、システム開発に反映する必要がある。 「学習支援システム」の開発についても、一通りの機能は開発することができたが、多人数での授業内の一斉使用に耐えるにはまだ改善の余地があり、これについては次年度も継続して対応していかなければならない。特に「Web理解度テスト」を一斉受験した際に、設置されている大学のサーバのセキュリティ対策の関係で、一度に集中して特定のサイトにアクセスするとアクセス制限がかかってしまい、受講者は解答をスムーズに続けることができなくなってしまう。こうした利用上の問題解決も今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度に完了できなかった部分、特にリスニングに関連したシステム開発と、「Web理解度テスト」の円滑な実施のための対策を完成させ、本格的な実験授業の準備を整え実施に移る。昨今はシステムサーバに対する外部からの攻撃が頻繁に起きており、外部からの認証機能の強化などの強度なセキュリティ対策にも留意しながら進める必要がある。 学習実験のためにはより多くの教材が必要となるため、実験と並行してさらなる教材の準備とそれをデータベースに登録作業を行なう。 そして、開発した学習法やWebデータベース、学習支援システムについて、実験授業の結果を分析評価し、実際の授業に適用可能な英語学習法として利便性の向上を図る。さらに、研究成果に改良を加えて実験授業を実施する。それら一連の実験や分析結果については、広く情報を公開して他の研究者からの評価を受ける目的もあり、学会等での発表を予定している。 また、紙による学習とWeb学習を融合した教授法開発に向けて、実験授業の結果について教授者に効果的なフィードバックをするための、タブレット端末を利用した教授者サポートシステムの開発を並行して行なう。これは受講者の出欠情報や学習時間、Web理解度テストの結果といった一般的な情報に加え、教授者が各学習者に対して行なった指導の記録、また指導が必要と思われる学生のピックアップといったさまざまな機能を備えたシステムで、効果的な学習指導のサポートとなるものである。 セキュリティやサーバへのアクセスなどの問題は日本国内だけでなく全世界的な課題であり、この点について相談するため、研究代表者がMultimedia for Language Learningコースで学んだイギリス、University of Leedsへの出張も予定している。
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Causes of Carryover |
タブレット端末の購入を平成26年度予算に計上していたが、当該年度は学習支援システムの開発に終始したため、これを用いた教授者支援システムの開発は平成27年度を予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学習支援システムを効果的に利用するためには、学習指導に当たる教授者に効率よくフィードバックを与える必要がある。机間巡視をしながらその場その場で学生指導に必要な情報を得ることができる、タブレット端末を利用した教授者サポートシステムを開発する予定である。これは受講者の出欠情報や学習時間、Web理解度テストの結果といった一般的な情報に加え、教授者が各学習者に対して行なった指導の記録、また指導が必要と思われる学生のピックアップといったさまざまな機能を備えたシステムで、効果的な学習指導のサポートとなるものである。
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Research Products
(6 results)