2016 Fiscal Year Annual Research Report
Cleft constructions and expletive pronouns in English and Japanese: A view from L2 acquisition studies
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26370700
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉村 紀子 静岡県立大学, その他部局等, 特任教授 (90129891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 隆子 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60448701)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 応答ストラテジー / 省略分裂文 / 応答挿入文 / フォーカス語句 / 母語の転移 / 日本語学習 / 応答学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二言語学習者による応答ストラテジーの習得について調査し、統語と談話の接点で母語からの転移が生じるかどうかを実証資料に基づき理論的に考察することを目的とした。。その目的に沿って、平成28年度は英語が母語の日本語学習者による日本語の応答ストラテジーの習得について研究した。 応答ストラテジーとして、英語はWH疑問文(例えば、What did you eat for dinner?)に対してフォーカス語句を挿入する応答挿入型(focus in-situ)(We ate sushi.)を用いるのに対して、日本語は省略分裂文型(reduced cleft)(「寿司(だ)」)を用いる点から、母語の転移があれば、英語母語話者は「寿司を食べ(まし)た」と応答するのではないかと予測された。 実験には北米の大学で日本語を学ぶ英語母語話者15人と日本に住む日本人大学生5人が参加し、主語「誰が」、目的語「何を」、後置詞句「いつ」「どこに」に対する応答を個別インタビューによって引き出し、録音した。録音データを「省略分裂文文」対「応答挿入文」の観点から分析した結果、フォーカス語句が主語では61.54%対38.46%(ただし、母語話者とは25%以上の差)、目的語では37.5%対62.5%、後置詞句では22.22%対63.63%であった(例えば、「ベーグルを食べました」、「2014年に卒業しました」。したがって、予測は総体的に支持されたと言える。特に目的語や後置詞句が焦点語句となった時に母語からの転移が顕著であったことは重要な発見であった。 今後の課題として、省略分裂文が日本語のオーラルコミュニケーションにおいてよく選択される応答オプションである点から、この応答学習を日本語教育にどのように効率的に導入したらよいかを実践的に検証する必要があることを強調した。
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[Presentation] 日本語の応答ストラテジー2016
Author(s)
吉村紀子・中山峰治・藤森敦之
Organizer
第二言語習得学会
Place of Presentation
九州大学
Year and Date
2016-12-17 – 2016-12-18
Int'l Joint Research
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