2014 Fiscal Year Research-status Report
英文読解における語彙力の涵養と語彙習得指導の実践:未知語に関する推論の力の活用
Project/Area Number |
26370708
|
Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
田近 裕子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (80188268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村杉 恵子(斎藤恵子) 南山大学, 外国語学部, 教授 (00239518)
豊嶋 朗子 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (20527717)
奥脇 奈津美 都留文科大学, 文学部, 准教授 (60363884)
野田 小枝子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (60408474)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 未知語 / 推論 / 語彙 / 読解 / 語彙レベル / 語彙指導 / 第二言語習得 / 外国語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず2014年度の春から秋にかけて文献による気を研究を行った。参照した書籍および論文としては、読解研究関係のもの、語彙と読解の関係に関するもの、語彙習得に関するもの、未知語の推論に関するものなどである。その結果、分かったことは、外国語の語彙に関する推論においては、学習者が適切な推論を行うことがなかなか容易ではない結果が多く報告されていた。さらに、未知語の推論の研究は、近年特に外国語としての学習に関する、母語と目標言語との関わりで行われる傾向が強い事など、第二言語習得研究にとってなかなか示唆的な意味を持っていることなども明らかになった。 こうした知見を踏まえて、実際に学習者に未知語の推論を促すことによって、どのような推論がなされているのかを調べるため、パイロット的調査として、大学生による未知語の推論を引き出す実験の準備を行った。まず、題材とするテクストとしては、Paul Nation監修による語彙のコントロールされている読解練習用のテクスト、4000 Essential English Words の一レッスンのパッセージを用いることとした。その理由は、テクストがすべて使用頻度4000語以内で書かれていて、4000語レベルの語彙がターゲットとして太字になっており、学習者のレベルとの関係で、未知語と既知語の区別が比較的明確にできるという利点があったからである。 このテクストを題材に、複数の大学の学生に未知語と思われる4000語レベルのターゲット語について推論させて、その内容を書かせるパイロット調査と行った。明らかにしたかったのは、学習者の行う未知語についての推論の種類とその成功度である。現在この約100名のデータを分析中である。 今後は、以上を踏まえて、この調査方法について改善すべきは改善し、本データ収集を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況の流れとしては予定した手順で事が進んでいるものの、データ収集の速度において幾分予定より遅れている。データ収集としては、現在大学生を行っているが、予定では中高生にもこれを行うことが良いと考えていた。これについては、大学生と異なり、適切な読解パッセージを語彙の頻度レベルの調整がなかなか難しいことにある。現在、鋭意、この点について課題が解決できるように研究を進めているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はデータの幅を大学生、高校生、中学生へと広め、より多角的な視点から学習者の取り組む推論の成果について調査していく。それぞれの学習段階にある学習者の特性も見ていく必要がある。学習者が年齢を追ってどのように未知語の推論に変更を加えていくのか、あるいは、年齢や発達とは異なる点で推論に変容が生まれるのか、など、明らかにしていきたい。 さらに、できれば、数量的データ処理だけでなく質的データも集めて、そこから得られる知見も得たいと考えている。第二言語習得研究で大切なのは、量と質の両面から多角的に言語習得現象を検証することである。
|
Causes of Carryover |
本研究ではいくぶんかの進捗状況の遅れが出ているため。2014年度末には大学生、高校生、中学生を対象に多数のデータを収集する予定であった。このデータ収集のために作業にあたる関係者に必要な人件費、通信費、交通費、謝礼、データ処理に必要は専門知識の提供、データ処理に必要な人的リソースへの出費など、予定していた金額を年度内には使い切らなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度になり、現在はパイロット的に収集した大学生のデータを処理している。さらに、このデータについては、中間発表として、CAES International Conference 2015: Faces of English: Theory, Practice and Pedagogy (Hong Kong) にて報告をすることになっている。この発表には分担者を含む4名のメンバーが参加する。 なお、新学期になってしまったが、大学生、高校生、中学生の本番データをできるだけ早く収集し、データ収集のための作業費・人件費、通信費、謝礼、およびデータ処理に必要な専門知識などへの出費を執行していく計画である。
|
Research Products
(1 results)