2015 Fiscal Year Research-status Report
アジアにおける国際共通語としての英語の音声的特徴の言語間比較に関する研究
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26370715
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 克正 名古屋学院大学, 外国語学部, 名誉教授 (10083792)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際共通語 / 英語 / アジア諸言語 / 閉鎖子音 / VOT / 同化移入 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は課題研究の中間年であり、調査対象にしている言語の音声資料の収集と国際共通語としての英語の音声指導のためのテキストの作成に努めた。音声資料の収集では、ビルマ語、韓国語および英語のデータを録音し、音声分析を行った。初年度の音声データの分析結果とも併せ、研究発表を平成27年11月に韓国で開催された2015 International Conference on Speech Sciences(2015ICSS)、さらに平成28年2月に名古屋で開催された大学英語教育学会中部支部研究会で行った。2015ICSSでは、韓国語話者の英語と日本語における閉鎖子音の習得を中心に述べ、両言語の無声閉鎖音の学習では母語と学習する言語間のVOT値の近似性が関与し、他方、有声閉鎖音の学習では新たな範疇を設定していることを論じた。また大学英語教育学会での発表では、日本語と英語話者の母音習得についてフォルマント周波数を比較し、それらに基づき同化移入(assimilatory transfer)の考えを提起し、学習理論とその問題点を論述した。さらに、雑誌論文としては、2015ICSSのProceedingsへの掲載と日本音韻論学会の紀要にVOTの研究動向について論じ、国際共通語としての英語の閉鎖子音と母音の学習を考察した。これらの結果は、国際共通語としての英語の音声的条件を考察する上で重要であり、また外国語として英語音声を習得する場合の学習理論を構築することに有意に貢献するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は中間年であり、ほぼアジア諸言語の音声データを収集しておくべきであったが、ビルマ語とベトナム語に関してデータが不足している。関係する大学の留学生に依頼する予定であったが、調査参加者との調整ができなかった。また、韓国に出張した時にデータの収集を予定していたが、学会発表と重複し、データ収集ができなかった。さらに国際共通語としての英語の音声学習書を作成予定であったが、原稿の作成がかなり遅れ、年度内に完成することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は研究の最終年であり、不足している言語データの収集とともに音声指導のためのテキストの出版を予定にしている。今年度の前半までにデータの収集と分析を行い、また音声指導書の作成を終えたいと考えている。さらに、関係する学会の研究誌への投稿とともに研究会等で研究成果の発表を行う予定にしている。
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