2016 Fiscal Year Research-status Report
タスク基盤の情報交換が生み出す言語能力創発の契機と学習者の発達軌跡
Project/Area Number |
26370716
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松村 昌紀 名城大学, 理工学部, 教授 (60275112)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | タスク / 相互作用 / タスク・タイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究への着手後、順次収集してきたデータの分析を進める中で、共同注意、足場組みを含む学習者の相互支援、意味交渉、アフォーダンスの提供と利用など、コミュニケーション・タスクが作り出す言語発達の契機に関して、特にタスクのタイプとデザイン特性、種々のタスク変数が重要な影響を及ぼしていることが明らかになった。そこで、平成28年度には主にそれらと生み出されるやり取りの質の関連について深く考察し、既存の理論的フレームワークを批判的に検討しつつ新たな参照枠の構築に至った。成果は平成28年4月に台北市(台湾)で開催されたInternational Conference of Applied Linguistics & Language Teaching、および6月に三重県鈴鹿市で開催された中部地区英語教育学会三重大会で、それぞれタスク変数とタスクのタイプに関連する問題に分けて発表され、さらに論文として『中部地区英語教育学会紀要』第46号に掲載された。 平成28年度の研究によって得られた知見の中には、例えばジグソーと意思決定型のタスクは柔軟な変数コントロールによって言語発達に望ましい条件を生み出しやすいこと、すべてのタイプのタスクで内容を複雑化することがやり取りの質を変化させる潜在的な力を持つことなど、言語指導実践上の示唆が含まれており、それらの成果には、言語教育研究者および第二言語指導者を読者対象とした『タスク・ベースの言語指導──TBLTの理解と実践』(共著、大修館書店、平成29年6月刊行予定)の執筆担当章の中でも言及した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は後半に共著書の編集と執筆に注力する必要があったため、追加収集したデータの分析を一部残すこととなった。しかし、年度前半に得られた知見には当初の研究計画を上回る成果も含まれ、それらはその共著書の中で広範に言及することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
未分析となっている一部のデータに対して分析を行い、研究期間中にその成果の公表を目指す。分析においては会話分析的な手法も用い、従来にも増してやり取りのターンが持つ機能を精細に明らかにする。
|
Causes of Carryover |
当初の計画を拡充するために追加収集したデータの分析に一部着手することができず、その処理に関わる経費を必要としなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
保留しているデータの分析を今年度に行う中で使用し、学会等における成果発表時の旅費としても用いる。
|