2017 Fiscal Year Annual Research Report
The momenta for second language learning in task-based peer interaction and trajectories of learner development
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26370716
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松村 昌紀 名城大学, 理工学部, 教授 (60275112)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タスク / 情報交換 / 言語使用 / 第二言語発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に実施した実験で収集したデータの精細な分析を進め、明らかになった事項の要点を共著書『タスク・ベースの言語指導』(大修館書店、2017年)の執筆箇所である第1、第5、第9章において提示した。具体的には、タスクのタイプごとの特性に鑑みて、それぞれに学習者の言語使用、および自らの表出の質や問題点に関する認識と評価に違いがあることが推論されるが、実際に情報伝達/交換型のタスクの遂行では固有の認知操作や言語化のプロセスが要求され、第二言語の発達にとって独自の役割を担うことになることなどを指摘している。さらに、近年の科学的知見の拡大や言語の知識と使用に関わる認識論、第二言語学習と指導における機能的な目標設定のあり方などに言及しながら、タスクを利用した指導を行っていく際、第二言語の指導者にどのような発想の転換が求められることになるかを論じた。同書の準備と出版においては、編者として一般のタスク利用に関する認知と理解が深まるよう種々の工夫を施している。 同時に、年間を通して学会や教育委員会主催の教員研修の場で行ったいくつかの講演の中で、研究成果を言語教育の研究者ならびに言語指導者に伝えていくことにも注力した。研究の概要およびそこから導かれた洞察やアイデアを講演という形で公にすることでは、研究成果の一定の社会還元を達成することができたと考えている。特に年度の後半にそれらの準備に多くの時間を割いたため、研究の包括的な成果を学術論文にまとめる作業が年度内に完結しなかったが、その努力を継続し、できる限り早い時期に公刊するつもりである。
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