2014 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語への肯定的認識を学習者の国際発信力につなぐ国際英語教育
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26370718
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Research Institution | Okazaki Women's University |
Principal Investigator |
小宮 富子 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 教授 (40205513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 有香 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40341226)
吉川 寛 中京大学, 公私立大学の部局等, その他 (90301639)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際英語 / 日本人英語の特徴 / コーパス / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、国際英語の諸理論のうち、World Englishes(WE) やEnglish as a Lingua Franca(ELF)の理念と「日本人英語」の概念がどのような関係を持ちうるかについての整理を試みた。WE理論の中で日本人英語のような拡大英語には自立性が認められてこなかったが、一方ELFにおいても、国際補助語としての英語に議論の焦点が置かれているため、外円英語・拡大英語の区別なく、英語の土着化はあまり論じられてこなかった。しかし、日本人にとって、日本文化を反映した日本的特徴を有する日本英語を同定することは、社会的・教育的に大きな意義を持つ。拡大圏にある英語はWE理論やELF理論では説明しきれない固有の事情を持つことが確認しえた。the 7th Conference of English as a Lingua Franca(ギリシャ)において、現在の国際英語理論の潮流の中で日本人英語が抱えるジレンマと日本人英語固有の性質についての発表を行った。 また、大学英語教育がグローバル人材育成をめざす上で考慮すべき課題や教育方法についても分析し、国際英語の視点を含む「国際言語管理」の戦略的な有効性に関する分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、国際英語論における日本人英語の位置づけに関する重要な課題を抽出することができた。拡大圏の英語、とりわけ英語との言語距離の大きなアジアの言語を母語とする民族が使用する英語にとって、その独自性の同定は重要な意味をもつ。WE理論においてもELF理論においてもその点があまり認識されてこなかったことは大きな課題である。平成26年度は、コーパスを用いた日本人英語に関する先行研究の分析も進めることができた。日本人「英語学習者」の英語特徴と習熟した日本人「英語使用者」の英語特徴を比較区別することが日本人英語の同定において非常に重要な視点となることを確認することができた。また、国際英語の視点を英語学習に活用する方法などについても基本事項の整理を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本人英語の文法特徴などをコーパスを利用しつつ、量的質的に分析していく予定である。また、その際に、学習者の英語と習熟した英語使用者の英語の区別にも留意した分析を行う。また、他の外円英語との比較を通して、日本人英語の特徴における他の非母語話者英語との共通特徴と日本人英語の独自的特徴とを区別した抽出を試みる。日本人英語の日本人らしさを「modality」の概念を切り口として分析し、エビデンスの収集につとめる予定である。また、日本人英語が国際コミュニケーションにおいて有用性をもつために求められる「調整」の在り方に関する分析と、具体例の収集を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度には北京及び鹿児島での二つの国際学会での発表を予定しており、旅費の支出が増加するため、平成26年度の予定使用額の一部を平成27年度で使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
The 8th International Conference of English as a Lingua Franca(北京) での研究発表の旅費の一部として使用する予定である。
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