2016 Fiscal Year Research-status Report
Assessing the influence of extensive reading in English on learners' reading, vocabulary knowledge, and attitude toward English and English learning
Project/Area Number |
26370721
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
今村 一博 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70632826)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多読 / 読みの速さ / 読みの正確さ / 語彙認識の速さ / 読解ストラテジー / 視線解析 / カリキュラム / 英語及び英語学習に対する態度・動機づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、初級英語学習者を対象とした英語多読が、読み・語彙・情意の諸側面にどのような影響を及ぼすか、広く詳細に縦断的な実証的研究を行う。平成28年度は、課外での多読指導を行って多読期間前後に実施したテスト、質問紙の結果について先行研究と合わせて分析を行ない、3つの学会で発表を行なった。 多読の影響として、情意面おいては、英語及び英語学習に対する肯定的・好意的な態度・動機づけが先ず早い時期に有意に強まり、その後、英語を学習することによって幅広い知識・新しい考え方、教養が身につくという態度が有意に強まることが示された。 読解ストラテジーに関しては、多読の影響として、英文を読んでいる時に、日本語に訳さないで英文のまま理解しようとするストラテジーが早い段階で多用されるようになり、その後、内容を予測しながら読み進め、意味の知らない語彙の意味を前後関係から推測するといったストラテジーが多用されるようになることが示唆された。 読みの速さ・正確さ、語彙の広さ、語彙認識の速さ・正確さに関しては、多読の好ましい影響は、読みの速さ、語彙認識の速さに対して早い時期に表れ、その後読みの正確さに表れることが示された。英文を読んでいる時の視線解析による調査から、多読によって一定量の英文を読む際の停留回数が減少する影響が早い段階から見られ、読みの質的変化が生じていることがわかった。 これらの結果は、英語指導者が、課外での多読指導を行う場合の授業内で行う指導内容やカリキュラムを検討する際に、教育的示唆を与えると考えられる。また多読が、読みの発達に及ぼす影響のメカニズムについても検討する際に参考になるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた通り、日本語を母語とする英語学習者を対象にして課外での多読指導を行って、多読期間前後に実施した数多くのテスト、質問紙について分析を行ない、3つの学会発表を行ない、英語指導者が、カリキュラムを検討する際に参考となる教育的示唆が得られ、また外国語としての英語の読みの発達メカニズムを検討する際に参考となる証左が得られた点は評価できると考える。ただし、年度途中に海外研修の引率をはじめ多くの校務が重なったため、重要な最後のまとめの時間を十分に確保するために一年間の期間延長をした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度となる平成29年度は、課外での多読指導、数多く実施したテスト・質問紙の結果をまとめ、総括することに留まらず、そこから得られる教育的示唆、日本語を母語とする英語初級学習者に対する多読が、読みの発達に及ぼす影響のメカニズムについても検討し、広くその成果を伝えていきたい。
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Causes of Carryover |
上記で述べた通り、年度途中に海外研修の引率をはじめ多くの校務が重なったため、重要な最後のまとめの時間を十分に確保するために一年間の期間延長をした。次年度分の最低限の使用額を確保するために節減に努めた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍、英文校正、紙・インクの費用等に使用する予定である。
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