2016 Fiscal Year Research-status Report
教科書の誤りをとおして検証する日本ロシア語教育の特殊性
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26370731
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
黒岩 幸子 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80305317)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロシア語教育 / ロシア語教科書 / ロシア語発音教程 / ラジオ・ロシア語講座 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの研究成果の国際発信および成果に基づく授業実践としてのラジオ講座の取り組みを重点的に進めた。具体的には以下のとおり。 5月 ワルシャワ大学の国際ロシア語ロシア文学教師協会(MAPRYAL)の学会で日本のロシア語発音教程の諸問題について報告し、ロシア・旧ソ連圏・ヨーロッパの参加者たちと意見交換した。「硬軟母音」の概念は、日本だけでなくロシア以外の各地域で依然として使用されていることが明らかになった。 9月 『ロシア語教育研究』第6号(2015年)に掲載された論文「日本のロシア語教程における『硬母音・軟母音』の概念について」に呼応する内容の特別寄稿が、同誌第7号に音声学の専門家から寄せられた。これにより、日本のロシア語教科書の実質的創設者である八杉貞利に関する新たな情報が得られた。 5月~翌年3月 NHKラジオ番組「まいにちロシア語」入門編の講師を担当することになり、「声に出して覚えるロシア語」をテーマに、シナリオ執筆、番組収録、テキスト執筆を行った。(放送は2017年4~9月)。これまでの研究で明らかになった日本の発音教程の問題点を是正することを一つの目標として、発音、イントネーション、ロシア語の音声の仕組みの説明などをわかりやすく盛り込んだ番組制作に取り組んだ。 3月 多言語の語学教育関係者の編纂による共著に、ロシア語学・文学関連学会の状況を述べる論文を載せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りにワルシャワの国際学会での報告を行い、研究成果の国際発信と海外のロシア語教育者との交流も行い、旧ロシア圏・ヨーロッパの発音協定について知る機会を得た。また、本研究はロシア語発音教程はじめ、最終的には語学教育の実践に寄与することを目的としており、その実践として実際のラジオ講座で講師を担当する準備に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度は、過去3年間の研究成果に基づいて発音教程の改善を発信してゆく。 ロシアのロシア語教育、音声学の専門家の理論、および旧ソ連圏の理論を調査すると同時に、日本の過去のロシア語教科書の調査も引き続き行う。ラジオ講座での実践とテキストを基にして、大学教育で使用できる発音教程のモデルをつくる。
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Causes of Carryover |
図書費の最終金額が明らかになるのが遅れ、あえて使用を控えていたため、約2000円が未使用で残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の図書費に加えて使用予定。
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Research Products
(2 results)