2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370744
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
吉田 国子 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (40298021)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己調整学習 / リメディアル英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では英語リメディアル教育において、自己調整学習が困難な学習者に対しどのようなタイミングでどのような介入を行うのが効果的なのかパイロットスタディーを重ね、最終的には自己調整学習を促す教育的枠組みについて提言することを目的としている。自己調整された学習者は、「自己省察」「学習の予見「学習の遂行コントロール」の三段階を自らの力で回していくことが可能で、学習サイクルが途切れることはない。 平成26年度は前期4月~7月、後期9月~1月に研究代表者と連携研究者の計3名が、担当している授業においてのべ500名の学生に半期ごと15週にわたって毎授業終了時に所定の「学習記録」への記入を指示した。この学習記録は、自己調整学習理論に基づき「自己省察の段階<授業の振り返りおよび宿題の達成度の自己評価>」「予見の段階<次回授業までに自分自身で宿題を出す>」「遂行コントロールの段階<宿題をやる>」の三項目からなる。 収集したテキストデータは、大まかな傾向をつかむために、コンコーダンスソフトウエアとテキストマイニングソフトウエアにて、分析を行った。分析に際しては、特徴語の抽出と特徴語の現れるコンテクストの類型化を行い、特徴語と共起する語と共起の強さに着目した。分析の結果から全体として、「遂行コントロール」の段階で学習サイクルが途切れる傾向が示唆された。同時に他段階での問題点、すなわち「学習の振り返りが不十分、適切な原因帰属ができない<自己省察>」と「具体的な学習計画、学習方略が立てられない<予見の段階>」が学習サイクルの循環に影響を与えることが示唆された。また、学習記録の書式・デザインが、学習に対する自己省察の度合いに影響を与えている可能性があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、連携研究者、協力者の助力を得て、研究代表者の勤務校以外の地域で、英語習熟度が異なる学生の学習記録データをのべ500名収集し、分析することができた。結果として、全体として「遂行コントロール」段階で学習サイクルが途切れることが示唆されたため、平成27年度に予定している、教育介入とそのタイミングを探る調査への大きなヒントとなった。また、「遂行コントロール」段階のみならず、「自己省察」「自己の学習の予見」の段階でも困難を感じる学習者が相当数いることが観察されたため、各段階における教育介入の具体的方法を探ることが重要であるとの認識に至った。さらに、「学習記録」の記入という行為そのものが学習記録用紙のデザインによって妨げられる可能性が明らかになったため、次期調査では学習記録用紙の改定を行う方向で進めることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、英語学習困難学生への個別聞き取り調査を開始する。地理的制約があるため、27年度の前半は研究代表者が所属する大学と、連携研究者が所属する関東圏の大学の学生それぞれ5名程度を対象とする。聞き取ったデータは逐語化し、まず研究代表者が分析、解釈する。解釈したデータを連携研究者へフィードバックし、共にデータの再解釈を行う。27年度の後半は、別の連携研究者が所属する西日本の大学の学生を対象に聞き取り調査を行い、聞き取ったデータは逐語化し、まず研究代表者が分析、解釈する。解釈したデータを連携研究者へフィードバックし、共にデータの再解釈を行う。 なお、27年度から連携研究者である二名を研究分担者として迎え、研究体制の充実を図る予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画段階においては、学習記録データを紙媒体にて収集することを予定していたが、LMSを用いることで一部ネット上での収集が可能になった。よって、データ打ち込み作業を依頼するアルバイトへの人件費が圧縮され、平成26年度末に未使用額として計上することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、連携研究者を研究分担者として招き、研究体制を強化する予定である。よって26年度末の未使用額を研究分担者への分担金の一部に充てる。
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Research Products
(1 results)