2015 Fiscal Year Research-status Report
日本型早期英語教育を推進するクラウド型デジタル英語学習教材システムの研究開発
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26370752
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
松宮 新吾 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (40411558)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 早期英語教育 / 認知学習 / デジタル教材研究開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の次期学習指導要領の改訂へ向け、小学校英語の教科化と早期化のガイドラインが示された。これに伴い、国は研究開発校を指定するなど、学校が必要な措置を講じるための支援的施策の実施に着手したところである。本年度の研究では、先行研究から明らかとなった課題として、教材開発と教員養成をテーマに、外国語活動を担当している教員を対象に調査を実施し、教材開発の方向性と教職課程のカリキュラム内容を決定するために必要なデータを得た。 その結果、担当教員は、小学校3年生からの活動型授業への早期化という国の方針とは異なり、1年生からの早期英語教育の実現を期待していることや、第二外国語習得の習慣形成理論に基づく「慣れ親しませる」活動だけではなくアルファベットなどの文字認識をはじめとする認知学習についても積極的に捉えていることが判明した。また、カリキュラム内容については、英語運用能力の育成と、指導理論・技術の育成を6:4の比率でデザインすることが効果的であることが判明した。 この研究成果は論文として取りまとめ、現在、関西外国語大学「研究論集」第104号へ投稿中である。 また、本年度の研究調査の分析結果を反映し、アルファベット(文字)の導入(音声とグラフィカルな形の認識)、音声の再生、形の再現、筆順、単語(sight word) の認識、音、単語・表現、意味、状況の判断と認識を促進するためのデジタル教材を開発し、大阪府内の教育委員会が実施する教員研修等で試用するとともに、オーストラリアと台湾の教育機関においても開発したデジタル教材等についての試用・評価を依頼している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪府教育委員会をはじめ、尾市教育委員会、吹田市教育委員会、茨木市教育委員会、門真市教育委員会、守口市教育委員会、枚方市教育委員会等が主催する10年経験者研修等の教員研修や、各教育委員会が所管する小学校等における校内研修(年間20回程度)で本研究の成果や開発したクラウド型デジタル教材を活用してきている。また、海外(移民の多いオーストラリア、日本同様の英語教育環境を有する台湾)における早期英語教育に関わる授業参観をはじめとする実態調査や資料収集等を通じて本研究成果の質的検証を行っている。その結果、アルファベット(文字)学習用に開発したデジタル教材が高く評価されるなど、一定レベルの評価を得ることができた。 また、本研究による調査結果を論文としてまとめ投稿する等、研究成果をデジタル教材の開発へと具体的に反映させることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年度においては、研究開発したデジタル教材をインターネット上のウェブでクラウド化し、広く一般に公開するとともに、開発した教材に関わる評価を国内外から得ることである。そのためにも、ウェブ上で、教材資料をデータベース化するとともに、国内の小学校におけるインターネット環境や端末環境(ハードウェア、ソフトウェア)に対応したユニバーサルデザイン化を図ることが喫緊の課題である。 また、デジタル教材資料集をデータベース化するだけに止まらず、各種教材資料集を教室で実際に用い教育効果を高めるための授業実践事例や、教員研修セミナーを開催する等の実務レベルの取り組みが期待されるところである。その意味において、本研究は本年度でピリオドを打つのではなく、来年度以降も継続的にその教育効果を追証したり、クラウド型デジタル教材資料集等を多様な利用端末や教室環境に対応することができるようフィードバックを得ながらアップデートしていくことが強く求められていると考える。 さらに、クラウド型の特色を活かし、日本国内に止まらず、アジア諸国・諸地域を中心に、海外の教育機関における運用についても継続的に推進するとともに、ウェブ上でのプラットフォームの在り方についての研究を深めていく。
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Causes of Carryover |
中国(北京語言大学、上海外国語大学)との、クラウド型デジタル教材開発についての協議日程調整ができなかったことにより、中国訪問を中止したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年8月22日(月)、23日(火)、24日(水)、25日(木)で研究協議日程を調整し、訪問予定。
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Remarks |
E-Box for ELT (http://www.ablish.info/ebox )では、以下のユーザーIDとパスコードが必要です。 ユーザーID: fles_2016 パスコード:fles_2016
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