2016 Fiscal Year Research-status Report
日本型早期英語教育を推進するクラウド型デジタル英語学習教材システムの研究開発
Project/Area Number |
26370752
|
Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
松宮 新吾 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (40411558)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 小中一貫英語教育カリキュラム / クラウド型学習教材データベース / キュービック・フレームワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究3年次となる2016年度では、小中一貫英語教育を推進するための一貫英語教育カリキュラムを完成させるための、その主たる構成要因である(1)教育目標、(2)教育内容(教材、学習材)、(3)教育方法(評価法を含む)、(3)教育環境(人的物的環境及びICT環境を含む)をクラウド型教材データベースにおいて一元管理するためのフレームワークの構築を中心に研究を行った。 その結果、児童生徒の発達段階や学習段階と、開発した教材及びその教材を用いた学習活動内容を三次元上の空間にプロットすることができるキュービック・フレームワーク(cubic framework)を構築することができた。このフレームワークでは、児童生徒の年齢をx軸に、学習や思考の深まりをy軸に、児童生徒と教材及び教材を用いた学習活動内容との距離(具体から抽象へ)をz軸に割り振り、開発した教材や使用する教授法等を三次元上の空間に位置づけるものである。これにより、教材や学習内容、教授方法等を明確にカリキュラム内に配列することができ、児童生徒と学習内容や教材及び教授法とのミスマッチを予見したり、防いだりすることができるようになった。 さらに、学習活動や学習内容については、言語学習の基本4技能(聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと)の関連性を明示するためのトークン(token)を併せて開発し、教室内で展開される活動内容と使用する題材との関連性をより明確に意識化・可視化させることが可能となった。 これらの成果は、論文としてとりまとめ、関西外国語大学「研究論集」に投稿し、採用された。また、本研究を遂行するための研究協力機関である6つの市教育委員会が主催する外国語(英語)活動指導者養成研修や授業研究会等において講師としてその成果の普及を図ると共に、指導者の授業実践力の育成・向上に寄与してきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発した小中一貫英語教育カリキュラムで使用する学習教材データベースをクラウド上にアップロードし、一般公開することにより、開発した学習教材等の利用の促進を図っているところある。また、本研究開発に関わった6市の教育委員会(大阪市、八尾市、門真市、枚方市、吹田市、茨木市)が実施する外国語担当教員研修会や授業研究会等においてもその成果を普及すると共に、適宜クラウド型データベース教材に対する評価を得ることができている。 特に、各市教育委員会が所管する小中学校の外国語活動や英語の授業において試用を重ねつつ、担当教員のみならず児童生徒の目線でクラウド型データベース教材の運用にかかわるユーザー・インターフェイスの改善に取り組んでいる。 また、利用することができる教材の拡充を図る中で、色覚に課題を抱える児童生徒を配慮したビデオ教材や視覚補助教材の作成を行うなど、教材の多様性・対応性を高めるための工夫や改善を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに研究の継続申請を行い認可されたとおり、本研究のテーマと成果は、平成30年度から行われる小中高の新学習指導要領の改定の趣旨と合致したものである。継続課題研究として、新学習指導要領の改訂の趣旨を実現するための一助として、小中一貫英語教育カリキュラムの完成度と汎用性を高め、その成果の全面的な普及に努めたい。また、本研究の成果は日本国内に止めず、開発協力を依頼した韓国、台湾、オーストラリアの各国・地域においてもそれぞれの地域性や教育環境等を配慮しながら、同様に普及させるための方策を検討する。これにより小中一貫英語教育を推進するためのネットワークをアジア圏内に構築することが期待される。
|