2017 Fiscal Year Annual Research Report
Standardisation of the family in the British Colonial Societies in the ninteenth century
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26370759
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中沢 葉子 (並河葉子) 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295743)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女性 / 家族 / 子ども / 奴隷制 / キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題である19世紀英領植民地世界における家族の変容について、今年度はとくに西インドの奴隷制社会の子どもに注目して研究を進めた。 アメリカ独立戦争後にイギリス社会で本格化する反奴隷制運動期に西インド社会では奴隷制改善運動が展開されるが、その中で女性の奴隷たちに対する出産奨励策や子どもたちの子育て環境について、当時の西インド社会について記された出版物から分析を進めた。 奴隷制改善運動においては、奴隷貿易が禁止された場合を見越して西インド社会の中で奴隷の人口を維持する必要性がプランターたちに認識されるようになり、奴隷の女性たちの処遇が変化しただけではなく、奴隷の子どもたちを育てる環境も変化したことが明らかになった。 女性の奴隷は労働力であると同時に次世代を生む存在でもあった。子どもを育てる役割は母親ではなく、畑での農作業など重労働に従事することができなくなった老人たちに任せられていただけではなく、子どもたちの栄養や病気への対応などについてもプランテーションの責任で細かく決められていたことも明らかになった。 奴隷制社会は、奴隷たちの過酷な労働により維持されていたことは事実であり、現代の社会とは大きく異なる側面が強調されがちである。しかしながら、恒常的な人口減少にさらされていた状況を前に、プランターたちは社会や経済体制を存続させるために女性たちの再生産能力と労働力を最大限に引き出しつつ子育てに対するコストを最小化する方法を模索していたことが分かった。商品作物栽培に特化した特殊な社会の事例とはいえ、女性の労働や子どもを育てる責任は母親にあるのか、家族にあるのか、あるいは社会にあるのかなど、現代社会にも共通する諸問題に当時の人びとがどのように対応したのか、また、その理由は何かなどについてなど、現代社会を考えるうえでも示唆深い内容が明らかになったといえる。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 教会の社会史2017
Author(s)
指昭博、塚本栄美子 編著、 並河葉子(分担執筆)
Total Pages
249頁
Publisher
彩流社
ISBN
9784779123269
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