2015 Fiscal Year Research-status Report
越前朝倉氏関係文書および一乗谷周辺村落に関する総合的研究
Project/Area Number |
26370763
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
長谷川 裕子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (20635122)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 日本史 / 中世史 / 地域史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、朝倉氏関係史料蒐集のため、6月・11月には長浜市立長浜城歴史博物館、8月には金沢市立玉川図書館、11月には大津市歴史博物館・総持寺において文書調査・撮影作業を行った。特に江戸時代の写本を中心とした玉川図書館での調査は、これまであまり整理されていなかった朝倉氏家臣関係文書を蒐集することができ、研究は大きく進展した。また、東京史料編纂所において京都および畿内近国の写真帳の総めくり作業と、自治体史・史料集の総めくり作業とを首都圏在住の研究協力者に委託して実施した。これらの調査で得られた史料については、随時データベースとして蓄積し、2年後の目録データベースおよび朝倉氏関係史料集の作成に向けて準備しているところである。 一方、一乗谷周辺村落調査については、平成27年5月・10月・平成28年3月の3回実施した。平成27年度は、脇三ヶ~東郷周辺地域と成願寺・高尾・篠尾を中心に、福井県法務局で入手した地籍図をふまえて石造物の残存状況調査と地名の由緒、館跡の伝承などに関する聞き取り調査を行った。その結果、朝倉氏が一乗谷に在城していた時代に作られた石造物が、いまだ未調査のまま各所に残されていることを確認できたが、日程の都合上、採寸・スケッチ等の詳細な調査ができなかったため、過去2年の現地調査で確認された石造物についての調査は、平成28年度以降随時進めていくこととなる。そして、その成果は、一乗谷朝倉氏遺跡資料館のホームページ上に掲載されている「石造物検索システム」に追加していく予定である。最終的には、これらの石造物や地名の由緒、館跡の伝承に関する情報を冊子にまとめていくことも計画している。 また、平成28年3月には、今後の文書調査および一乗谷周辺村落調査の方針について相談する研究会議を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、朝倉氏関係文書の蒐集と、一乗谷周辺村落の調査という二本柱で調査を進めているが、どちらについても毎年3回程度の調査を実施している。文書蒐集に関しては、東京大学史料編纂所、内閣文庫、金沢市立玉川図書館など、朝倉氏関係の史料を数多く伝えている主要な研究機関における調査を遂行し、これまで知られていなかった文書を含め、朝倉氏関係の文書の蒐集作業は順調に進んでいる。 また、一乗谷周辺村落調査については、地名の由緒や館跡の伝承などについて、聞き取り調査からだけでは判明しないところも多いが、一方で足羽川の港の位置など、貴重な情報を入手することもできた。さらには石造物の所在などについては、その都度新たな情報が得られており、それらを地籍図に落とし込む作業も着実に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、朝倉氏関係文書の蒐集に関しては、特にまとまって朝倉氏関係文書を伝えている文書所蔵・研究機関を中心に調査を進めていく。特に平成28年度に予定しているのが、尊経閣文庫と天理図書館における文書調査であるが、どちらも文書閲覧には相応の諸手続が必要となるため、年度の早い内に対応する予定である。その他としては、朝倉氏関係文書の調査を青森で実施する予定である。 一方、一乗谷周辺村落調査については、まずは過去2年間の科研調査で確認された石造物の詳細調査を実施し、データベースの情報を更新していく。また、平成28年度は一乗谷の東の三万谷地区のフィールドワークを実施する予定である。現時点では南は鹿又・浄教寺・東西大味、西は東郷・毘沙門、北は成願寺・高尾・篠尾、東は三万谷を「一乗谷地域」と設定し、一乗谷朝倉氏の影響を色濃く残す地域として、その特徴について整理していくことも検討している。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初、平成27年度は自治体史などの書籍を購入する予定であったが、それをしなかったため次年度使用額が生じることとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額分は、自治体史・史料集の購入費に充てる予定である。
|
Research Products
(3 results)