2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370769
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
上川 通夫 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (80264703)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中世仏教史 / 日本中世史 / 東アジア世界 / 山寺 / 普遍思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本中世仏教成立史を日本中世成立史の問題として考察するために、東アジア世界の中の日本中世形成史論と列島社会内在的な日本中世形成史論に目配りし、12世紀の歴史的達成を世界史上に位置づけることが目的である。特に、古代国家から中世国家への転換期における国家宗教としての仏教の実態を重視しつつ、被支配身分の民衆が自らの必要水準から主体的・意志的に仏教を導入する契機・過程・実態・意義を解明する計画のもとに、史料調査・現地見学・学会報告・論文執筆を実施した。 学会報告としては、「近代天皇制史観と前近代天皇制」「中世天皇即位儀礼の歴史的位置」「中世寺院と山・里・海」「中世山寺の基本構造」「平安仏教の特質」「普門寺史料の出現と愛知文化遺産」がある。執筆論文は、「中世寺院研究と根来寺」「永暦2年(1161)永意起請木札をめぐって」「中世山寺の基本構造―三河・尾張の例から―」がある。 学会報告と論文執筆の基礎として、『大日本史料』などの刊本史料集を揃え、普門寺(愛知県豊橋市)や櫻堂薬師(岐阜県瑞浪市)などの史料を調査し、六郷満山(大分県豊後高田市)などの山寺を踏査するとともに、博物館等の企画展で史料観覧を重ねた。 本研究では、形成期中世の民衆生活で自覚され獲得された普遍思想の水脈把握を課題としている。また、そのために、前史探究の時代幅と空間幅を拡大し、人類英知たる普遍思想の鉱脈把握を試みている。前者については個別事例の地道な検討に着手している。後者については、インド仏教にまで遡った研究史や、政治思想史・民衆思想史の通史研究に学ぶ段階である。初年度の実績はなお体系的ではないが、本研究にとって、また日本中世史研究にとって、山寺(山林寺院)の重要性が浮上したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会での招聘報告が多く、研究成果に批判を得ることができた。その際、専門分野を横断する学会と、専門性の高い学会と、双方での報告機会があり、研究の枠組みや実証成果を提示することができた。執筆論文は多くないが、他に脱稿した論文と著書があり、本研究の目的に沿った成果を準備できた。 史料調査について、着実に進めているが、さらなる蓄積や整理、分析にはなお数年を費やさざるを得ない。体系的な成果提示を最終年度(平成29年度)に見すえているので、おおむねは順調な進展であると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
山寺(山林寺院)と村寺(村落寺院・平地寺院)について、前年度からの継続として、史料調査と現地調査を行う。アジア仏教史との比較研究、特に中国・朝鮮の寺院立地についての文献研究と見地踏査について、初年度以上に進める。本研究課題に即した年表作成のために、史料整理と項目選定を開始する。口頭報告と論文執筆による成果報告を、順次実施する。最終年度(平成29年度)を目途に、成果報告書として論文集(単著)を刊行する予定であるが、平成27年度・28年度は、個別テーマの成果を公表して、批判を得る機会とする。
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Causes of Carryover |
物品(書籍)の購入に充てるべく、古書店に注文したところ、平成27年3月に「在庫なし」との返答があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
別の古書店で購入する。
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[Presentation] 平安仏教の特質2015
Author(s)
上川通夫
Organizer
國學院大學シンポジウム「古代東アジアの仏教交流」
Place of Presentation
國學院大學渋谷キャンパス
Year and Date
2015-01-25
Invited
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