2016 Fiscal Year Research-status Report
「郡的世界」から国衙の支配への歴史的変遷に関する基礎的研究
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26370774
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
森 公章 東洋大学, 文学部, 教授 (30202360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 半井家本医心方 / 伊賀国の在庁官人 / 在庁官人表 / 因幡国 |
Outline of Annual Research Achievements |
(イ)地方官衙遺跡出土木簡の事例収集に関しては、本年度の新出土木簡の情報を付加し、史料蓄積に努めた。発掘調査が進む肥前国杵島郡については、竹松遺跡などを巡検し、遺構や出土文字資料を中心とする遺物の観察を行い、知見を深めることができた。また畿内の郡司氏族について10~11世紀の動向を整理し、譜第郡領氏族がなお基層社会を支える存在として存続している様子や朝廷とのつながり、武者の進出のあり方などについて考究し、論文にまとめた。 (ロ)国務運営の全体像を知る史料の校訂文と注解については、業務委託により菅家文草、北山抄、高山寺本古往来、宇津保物語などの校訂文を入力することができた。半井家本『医心方』に関しては、今年度に論文としてまとめ、発表することができた。また周防国に関わる清胤王書状群の検討に着手しているが、そのまとめは次年度以降の課題となる。 (ハ)国衙関係者・在庁官人表の補訂と個別事例の分析に関しては、伊賀、加賀・越中、因幡について検討を進め、伊賀と加賀・越中に関しては論文、因幡については単著を刊行し、その中で補足する知見を得ることができている。またその他の地域についてもいくつか史料を補訂し、表の完成に向けて作業を進めることができた。 (ニ)木簡出土遺跡や国衙支配の場の踏査と資・史料の入手については、上述の長崎県大村市竹松遺跡、また史跡登録に向けて発掘調査が佳境を迎えている讃岐国府など、発掘調査の現地に臨み、遺跡の立地や景観、遺構・遺物の観察などを行うことができた。国府・国分寺に関しては、他に加賀・能登について調査し、国府と一宮や国分寺・国分尼寺などとの関係を調査する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎史料の入力や注解に関しては、本年度目標分は概ね遂行できた。 在庁官人表の補訂は、いくつかの知見を付加し、表の完成に向けた作業を蓄積することができた。 地方官衙遺跡出土木簡については、情報の集積に努めるとともに、実地に現物観察を行い、釈文を確認するなどの作業を行うことができた。 現地踏査は3回行い、それぞれに今後の研究を進める上で有益な見識を深めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的研究方法は当初計画通りに進めるつもりである。5つの柱により構成される計画のそれぞれについて年度毎の蓄積を行い、着実な研究を遂行したい。現地踏査は遺跡の発掘状況や注目すべき遺物の出土に応じて選定する必要があるが、従前の木簡などの再検討などにも資する形で行うことも考慮したい。
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Research Products
(4 results)