2016 Fiscal Year Annual Research Report
Propagation techniques of ancient local temple construction plan-the arrangement of buildings within a temple cloister to the core-
Project/Area Number |
26370775
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
三舟 隆之 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (20418586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 古代寺院跡 / 伽藍配置 / 地域性 / 定型化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の調査は、7/8京都・北野廃寺、7/18京都・隼上り瓦窯跡、8/24~26にかけて岐阜県飛騨市の古代寺院跡を調査し、9/11~13にかけて兵庫・徳島県の古代寺院跡の調査を、また10/30に大阪府高槻市の古代寺院跡の調査を行った。さらに11/11は奈良県の葛城市歴史博物館の瓦を見学し、合わせて周辺寺院跡を調査した。 これらの調査は実際に寺院跡の現状や立地を把握するためであるが、博物館や教育委員会・埋蔵文化財センターの協力もあって、遺跡だけでなく遺物も合わせて実見できたことは制かであった。とくに徳島県立博物館では県内の出土瓦をほぼ全て実見し、岐阜県飛騨市では文字瓦や寺名墨書土器を実見でき、合わせて現状からいくつかの寺院跡の伽藍配置を推測することができ、大変貴重な成果を挙げることができた。 これらの調査から、古代寺院跡の伽藍配置については、やはり地域性が存在することが確信できた。特に飛騨市では郷単位で寺院が成立し、「郷名寺院」が存在している。このことは、仏教の受容において技術の伝播に僧侶が関係している可能性が考えられる。また奈良県葛城市の寺院跡では法隆寺式伽藍配置を採る寺院が多く、このことは寺院を造営する側にとっても、法隆寺式伽藍配置が重要な伽藍配置であるという認識があったと思われる。 このような成果を元に最終年度では全国の7/8世紀の古代寺院跡の伽藍配置をデータ化して、一覧表を作成した。その結果、四天王寺式は畿内では7世紀前半の伽藍配置であるが、地方では7世紀後半でも存在し、しかしながら周辺には影響を与えないこと、また法隆寺式・法起寺式伽藍配置はある程度グループ化し、また双塔式伽藍配置は必ずしも定型化した伽藍配置だけでなく、畿内から離れた地域では定型化が崩れていることなどが判明した。今後はこれらの事象の背景について、さらに研究を進めたい。
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Research Products
(2 results)