2014 Fiscal Year Research-status Report
古文書の料紙と様式の有機的関連性についての史料学的アプローチ
Project/Area Number |
26370776
|
Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
岡野 友彦 皇學館大学, 文学部, 教授 (40278411)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
漆原 徹 武蔵野大学, 文学部, 教授 (20248991)
花田 卓司 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (60584373)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 古文書学 / アーカイブス学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「古文書の料紙と様式の有機的関連性についての史料学的アプローチ」と題し、主として「様式論」「機能論」といった文字列情報を中心として進んできた従来の伝統的古文書学と、「料紙論」「形態論」をはじめとする非文字列情報を中心として急速に進展しつつある近年の古文書学を、有機的に連結させることで、古文書学の新たな飛躍を試みるとともに、古文書学とアーカイヴス学(文書保存学)との対話の可能性を探ることを目的とする。 上記の目的のため、9月26日と12月29日には伊勢で、11月15日には京都で、27年の3月11~12日には東京で、打ち合わせと調査を実施した。9月と11月には今後の研究の進め方について研究分担者・協力者と打合せを行い、12月には古文書学を中心としたここ数年間の日本中世史研究史整理の研究会を行い、3月の東京での調査では、東京大学文学部所蔵『青蓮院文書』の熟覧を行うとともに、顕微鏡撮影等の調査を実施した。 これらの打合せ・調査を通じて、およそ次のような方向性を共有することができた。まず第一に、上島有が「まぼろしの紙―檀紙」で指摘している、福井県今立町に伝存する岩野平三郎氏による越前奉書紙漉き技術の記録保存については、これを実施しない。また第二に、全国の日本史関係の講義において、古文書学のテキストとして使用することが可能であるような、カラー図版と顕微鏡画像、そして個々の文書の様式と料紙についての解説を載せたような書籍については、平成29年度に京都のミネルヴァ書房から刊行する方向で努力するという2点である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請に際し、私たちは米沢市上杉博物館所蔵の「上杉家文書」に収められる室町時代の文書を素材として研究を進める予定であった。しかし、交付の決定を受けた平成26年度に入り、研究代表者岡野の勤務する皇學館大学が、日本古文書学会大会の開催会場となったこと、また同じく岡野が、『史学雑誌』124編5号「2014年の歴史学界―回顧と展望―」日本中世のとりまとめに当たったこと等から多忙をきわめ、物理的・日程的に米沢への出張が難しく、結果として伊勢・京都・東京での打合せ・調査に終始してしまったことが原因である。 しかし平成27年度に入ると、それらの業務が一段落するため、残りの2年間で、研究目的は充分に達成可能なものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度末に実施した東京大学文学部所蔵『青蓮院文書』の調査が、到底1日で終了するものではなかったので、27年度に入った時点でまずその調査を実施し、次いで米沢市上杉博物館所蔵の『上杉家文書』をはじめ、古文書学のテキストに使えそうな古文書の画像を求め、全国各地の古文書所蔵施設で調査を実施し、当初の研究目的に向けた研究成果が得られるよう努力したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
研究実績の概要「現在までの達成度」の項でも述べたとおり、現在のところ研究の進捗状況はやや遅れており、それが次年度使用額が生じた主な理由である。そもそも私たちは、米沢市上杉博物館所蔵の「上杉家文書」に収められる室町時代の文書を素材として研究を進める予定であったが、交付の決定を受けた平成26年度に入り、研究代表者岡野の勤務する皇學館大学が、日本古文書学会大会の開催会場となったこと、また同じく岡野が、『史学雑誌』124編5号「2014年の歴史学界―回顧と展望―」日本中世のとりまとめに当たったこと等から多忙をきわめ、物理的・日程的に米沢への出張が難しく、結果として伊勢・京都・東京での打合せ・調査に終始してしまったことが研究の遅れの主たる原因である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に入ると、上記に述べた業務が一段落するため、残りの2年間で、米沢市上杉博物館所蔵の「上杉家文書」に収められる室町時代の文書調査をはじめとした、標記の研究目的は充分に達成可能なものと考えている。よって26年度から27年度へ43万円強を繰り越して使用したい。
|
Research Products
(6 results)