2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370777
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
遠藤 慶太 皇學館大学, 研究開発推進センター, 准教授 (90410927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荊木 美行 皇學館大学, 研究開発推進センター, 教授 (60213203)
毛利 正守 皇學館大学, 文学部, 教授 (70140415)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古代史 / 史料学 / 古写経 / 六国史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第二年目にあたり、遠藤慶太・荊木美行が中心となって編纂史書についての研究会を企画、平成27年8月23日、皇學館大学佐川記念神道博物館においてシンポジウム「国史編纂」を開催した。報告者・報告標題は次の通りである。①遠藤慶太「『古事記』と帝紀」、②関根淳「天皇記とその前後」、③河内春人「『日本書紀』系図一巻と系譜意識」、④笹川尚紀「都夫良意富美伝承考」、⑤細井浩志「国史の編纂―『日本書紀』と五国史の比較―」。 シンポジウムには日本古代史を専攻する5人の報告者のほかに、日本文学・中国文学の研究者が参加し、幅広い観点から質疑が交わされた。質疑終了後の意見交換では、報告・質疑の内容を検討のうえあらためて書籍化することとなった。 またこれら研究会での知見を踏まえ、『續日本紀史料』(皇學館大学研究開発推進センター編、昭和62~平成26年)で引用した史料解題について、遠藤・荊木の間で執筆項目の割り振りを行なった。遠藤は「東大寺要録」をはじめとする項目での執筆に入った。荊木は中国に出張して研究報告を行い、来年度に開催する予定の研究会「律令と法制書」の報告予定者との交渉を行なった。 このほか『續日本紀史料』に掲載した奈良時代写経の識語すべてについて、「上代文献を読む会」と協力して注釈原稿を作成、研究成果公開促進費の交付を受け『上代写経識語注釈』(勉誠出版、平成28年3月)として刊行することができた。さらに本研究と関わりの深い六国史については編纂史書の性質や内容、現代に伝えられた背景について平易に概説した一般書を執筆、遠藤慶太『六国史――日本書紀から始まる日本の「正史」』(中央公論新社、平成28年2月)として刊行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内地留学を終えた遠藤慶太が本務校(皇學館大学)にもどり、東京を拠点とした一年間の研究・交流の成果を集約することができた。本務校では研究分担者との連絡がスムーズに行なわれ、日常的に研究事業を推進することができている。とくに平成28年度は当初計画していた研究会の規模を拡大してシンポジウムを開催することができ、研究会開催と解題執筆が有機的に関連付けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
『續日本紀史料』掲載の史料のうち、綱文を立てる根拠とした史料を優先し、解題執筆を進める。おおまかな割り振りとしては、遠藤慶太が写経・寺院縁起を、荊木美行が系譜・金石文を、毛利正守が文学資料というように分担し、平成28年秋ごろの脱稿を目標に各自執筆に入る。執筆を終えた原稿は順次検討のうえ蓄積し、電子公開の準備を進める。 また平成28年度は「律令と法制書」をテーマとした研究会を開催し、海外の律令研究者と交流を深め、法制書の分野での解題執筆につなげてゆく。
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Causes of Carryover |
研究分担者である毛利正守が他の研究事業などで獲得した研究資金を活用して研究を進めたため、旅費等の面で支出が予定していた資金配分よりも小額で収まった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は次年度開催予定の研究会に参加する研究者を1名程度(国内)増やし、その旅費に充当したい。 また研究代表者が行なった料紙調査で顕微鏡・ライトパネルなどの機具が有効であることが確かめられたので、研究分担者分の購入を計画する。
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Research Products
(12 results)