2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370793
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森下 徹 山口大学, 教育学部, 教授 (90263748)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 城下町 / 地域社会 / 町 / 奉公人 / 武家屋敷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年の江戸や大坂など巨大都市を対象に進められてきた都市社会史研究の発展を踏まえ、西国の地方城下町に即して比較類型化をめざすものである。その初年度となる平成26年度においては、以下の成果を得た。 当該年度は、城下町の基礎史料の収集に傾注した。まず対象としたのは、鳥取である。鳥取県立博物館には大部の藩政史料が保存・公開されており、そのなかから城下町関係史料の収集を図った。すでに町奉行関係史料や町目付関係史料はCDに焼き付けられており、それらを購入するとともに、あわせてデジタルカメラによる収集も行った。それらの紙焼きをしたが、量が膨大なためすべてを焼き付けることはできていない。また萩城下の史料としては、山口県文書館毛利家文庫のなかの常御仕置帳をデジタル撮影した。次に津山城下については、町奉行日記が公刊されているので、これを購入した。このように、鳥取・萩・津山という3つの城下町について、史料収集を進めることができた。これらのなかから、とくに町や仲間の特質、また「日用」層の存在形態をうかがえる記事を現在抽出中である。 さらに研究成果としては、『近世都市の労働社会』を吉川弘文館より刊行し、労働社会という視点から、大坂をはじめ、萩、徳山、厳原、尾道など最後の城下町・港町の比較を行った。また「城下町萩における武家奉公人」(『思想』1084号)を刊行したが、これは萩城下に即して武家奉公人の存在形態を明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では鳥取藩の藩政史料より史料を収集する計画だったが、予定どおりCD焼き付け分は購入することができた。またCDに未焼き付けの史料も、現地調査を通して概要を把握し、一部ではあるがデジタルカメラでの収集ができた。次に山口県文書館での史料収集も当初予定していたものは、ほぼデジタルカメラにて撮影している。さらに津山藩の町奉行日記を購入することもできた。これらについては、収集作業と並行して分析にも着手できている。 また研究成果としては、主に西国城下町の労働社会に関する単著を刊行することができたし、『思想』には萩城下の武家奉公人について発表することもできた。このように、当初の予定以上に、成果をあげることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
鳥取城下の史料は膨大なので、引き続き収集・分析を進める必要がある。また山口県文書館にも、城下町関係史料はさまざまな形で存在しており、それらを逐一検討して、収集してゆく。これらの作業には大学院生などの協力を得て行う。 さらに新たに広島城下や岡山城下の史料収集も進める。あわせて研究方法を学ぶため、大坂や江戸を素材にした研究会には積極的に参加し、研究交流を進める。
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Causes of Carryover |
史料収集・整理のために旅費および謝金を予定していたが、一回の調査で予定以上にたくさんの史料を収集することができたので、旅費の件数が少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
鳥取藩関係史料は未収集のものがたくさん残されているので、引き続き収集に当たる。またその整理のための大学院生への謝金としても使用する。
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