2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370805
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
母利 美和 京都女子大学, 文学部, 教授 (60367951)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 淀藩 / 稲葉家 / 藩政史 / 上方支配 / 大坂城代 / 京都所司代 / 禁門の変 / 戊辰戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、科研費(基盤研究C)「近世中後期上方支配における山城国淀藩の基礎的研究」の3年目の研究活動を実施。 連携研究者との研究会活動は、2016年6月4日には、旧淀藩士の組織「淀温古会」の常松隆嗣氏・辻長治氏をゲストとして招いて「淀藩史料研究の現状と課題」について報告をいただき、高野瀬家文書や畑家文書の所在情報をはじめ、現存する淀藩関係史料の全体概要の把握をおこなった。これをふまえ、2016年11月6日、2017年3月26日に連携研究者との研究会を重ね、各研究員の成果課題や今後の調査・研究の進め方、成果報告書の目標などを協議した。 その結果、①京都市歴史資料館所蔵「渡辺家文書」の再調査、目録・解題作成(秋元)、②幕末期の大坂城守衛と畿内近国藩の研究という視点から、別の播磨国山崎藩を事例とした科研費研究会との情報交換の必要性(岩城)、③京都所司代就任時期の詳細な実務マニュアルの史料紹介、従来の史料との比較研究(梅田)、④禁門の変・戊辰戦争における淀藩の対応(笹部)、⑤淀藩の藩政機構、軍事編成、身分構造の解明と、享保の稲葉家入封以降の淀藩法令の翻刻紹介(母利)を成果課題とし、2017年度に成果報告書を作成し、シンポジウムを開催することとした。 昨年度に引き続き上月家文書の内、既入力調査データの校正作業を進め、約1000点の校正をおこなった。また昨年度、一部の調査を実施した竹林家文書の追加調査、高野瀬家文書263点の調査をおこない、写真撮影・データ入力もをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本科研費による研究は、当初3ヶ年計画であったが、史料所蔵機関の移転にともなう調査・閲覧不能、新たに確認された旧藩士家伝来資料のための調査増大により、計画所期の課題の一部が未執行であること、また新たな史料の調査も未完成であるため、1ヶ年の延長継続申請をせざるを得ない状況となり、申請し承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
①当初予定外の、竹林家・高野瀬家・畑家文書などが確認され、研究費の残額も多いので研究期間の1年延長を2017年2月に申請。3月21日付で承認された。 ②すでに調書作成・写真撮影の終了した竹林家文書・高野瀬家文書の調査データ入力、校正・目録作成を2017年度前半におこなう。 ③播磨国山崎藩を事例とした岩城卓二氏(本研究の連携研究者)の科研費研究会との合同研究会を8月下旬に開催、12月に各研究員による成果報告研究会を開催する。 ④後半の時期に、研究報告書(調査目録・解題・翻刻・個別研究などを収録。B5判、300頁程度、ダイレクト印刷)の作成に向けて編集作業をおこなう。2018年2月頃刊行予定。収録する翻刻史料としては「大儀院様御代被仰出書集」(享保9年~延享1年,128丁)、「組之御譜代被仰付候節之留」「寛政五年御着城御當日御規式帳」「享保九年淀藩引継文書」などを検討中。 ⑤成果報告書の公刊をもとに、研究者のみならず一般市民を対象と共同研究者によるシンポジウムを、2018年3月に開催予定。
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Causes of Carryover |
史料保存機関の移転等の事情により、一部の史料調査が不能であったこと、研究・調査を進める過程で、本研究を進める上で重要な新規史料群が確認されたため、2016年度中には史料調査・整理がまだ未完成の部分が残され、成果報告書やシンポジウムの開催を、2017年度に延期することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年の前半期に、未調査史料の調査、翻刻作業を大学院生を雇用し、一部史料撮影を業者委託して進め、後半期に成果報告書の編集作業を大学院生を雇用し2018年2月を目標に刊行する。 2018年3月に、研究会での成果を研究者・一般市民へ発信するため、シンポジウムを開催する。
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