2014 Fiscal Year Research-status Report
前二千年紀後半アッシリアにおける地方王国マリ国の歴史学的研究
Project/Area Number |
26370817
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (30323223)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アッシリア / メソポタミア / 楔形文字 / アッカド語 / テル・タバン / シリア / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、本年度は行政記録の書式と用語の分析に重点を置いた。研究はすでに作成していたテル・タバン出土文書データベースと全中期アッシリア文書データベースを更新するかたちで遂行した。このような基礎研究に加え、マリ国とアッシュル中央政府の関係、マリ国とアッシリア行政州の関係にかんする研究も推進した。この研究では、アッシリア王と王族、そして前13世紀後半から前12世紀初頭にかけてハブール流域以西の行政州(西方行政州)を統括していた大宰相職(スッカル・ラビウ)との関係にフォーカスをあてた。テル・タバンから発見された中期アッシリア文書の中にはアッシリアの王族、そして大宰相に就いていた人物に関する記録も含まれる。これら記録を主たる手がかりとしてうえの課題に取り組んだ。成果の一部は、2014年7月に第60回国際アッシリア学会中の企画としてワルシャワ大学で開催された中期アッシリア研究ワークショップにおいて口頭発表を行い、さらに二本の英語論文にまとめた。これに加え、共同研究者ジャオメ・リョップ(ベルリン自由大学)とともにアッシリア王の巡行にフォーカスをあてた研究に取り組んだ(研究成果は2015年度に学術雑誌に投稿予定)。 このような当初の研究計画に加え、前一千年紀アッシリアとの比較研究を前倒しで行った。特筆すべき研究実績は2014年12月につくば市で開催した国際会議。研究代表者と分担者が中心になって進めている他の研究プロジェクトと合同で行ったこの会議には、カリン・ラドナー(ロンドン大学)やアンドレアス・フクス(テュービン大学)ら12人の海外研究者、5人の国内研究者が参加し、前一千年紀アッシリアの諸相に関する研究発表を行い、それら発表課題に関する討議を行った(会議の成果は英文研究書として公刊準備中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画が遂行できたことに加え、海外研究者との共同研究が予想以上に進んだ。さらに前一千年紀アッシリアとの比較研究を前倒しで行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
複数の具体的な問題に焦点を当てながら研究に従事する。それら具体的な問題のうち、今年度に重点を置かねばならない課題として、債務記録や譲渡記録など私的法文書に関する研究、行政文書の書体の特性に関する研究、祭儀政策に関する研究をあげられる。
|