2016 Fiscal Year Research-status Report
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26370821
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三田 昌彦 名古屋大学, 文学研究科, 助教 (30262827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 城郭 / インド / 中世 / 近世 / 都市 / ラージプート / ラージャスターン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の通り2回の実地調査を行った。とくに城砦の構造と立地状況、市街区を囲む残存城壁の構造・特質など、衛星画像や既存の報告書では確認できない諸点を中心に調査を進めた。 ・9月に行ったラージャスターン南部各地の城砦(Acalgarh, Candravati, Sirohi, Jalor, Siwanaなど)の調査では、とくにアーブー・パラマーラ朝の王都Candravatiとアーブー山の山上城砦Acalgarhの、互いに20kmも離れた二つの城郭が密接に関係していることが判明した(後者はいくつもの小さな郭から構成されており、平地王都の詰めの城として機能していたと考えられる)。今後、この城砦間の関係を刻文史料などに依拠してさらに詰めるとともに、他の城砦・城郭都市についても王朝統治や軍事・外交政策と関わらせて城砦間関係を考察する必要がある。 ・3月に行ったラージャスターン北東部各地の城砦(Nimrana, Alwar, Dausa, Kishangarhなど)の調査でも城砦構造に関していくつもの新たな知見を得た。とくに11世紀以降の創建と考えられているAlwar城は一見、大規模山上城砦であるが、一山の上部を囲う一般的形態の山上城砦ではなく、U字形の山の谷部分を取り囲 むように城壁をめぐらしており、主要な施設も谷底ではなく城壁に近いところに位置している。大規模山上城砦としては極めて特異であり、その位置づけは今後の研究の進展に期するところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の実地調査では多くの新知見を得て成功と言いうる。データベースへの新データの追加は少なかったが、旧データの更新が非常に多かったので、概ね順調と言いうる。ただし、城砦や都市城壁の建造年代については、現段階でもなおはっきりしない城砦が多く、また改築も頻繁に行われてきたことを考慮に入れると、年代確定をめぐる問題は今後の最重要課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
・これまで通り、ラージャスターンを中心に城砦の実地調査を進めていく。 ・城砦データの新規データを増やしていく。 ・最重要課題は城砦年代の確定であるが、それは改築年代の確定によって大きく絞り込むことが可能なので、これまでの都市史の研究を網羅的に収集・整理するとともに、城砦・城郭都市をめぐる史料(刻文・文献)を収集・分析することで創建時から現在までの各城砦をめぐる歴史を整理しておく。
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Causes of Carryover |
一部の書籍が未慣行であったためこの年度に購入できなかったから。 また、旅費が予定よりも安く済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未慣行の書籍を購入するとともに、残額を次年度の旅費に上乗せする。
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Research Products
(6 results)