2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370843
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
承 志 追手門学院大学, 国際教養学部, 准教授 (80455229)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネルチンスク条約 / 大興安嶺 / 国境 / 国境碑 / ロシア / 大清国 / アムール河 / ゲルビチ河 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)古地図と古文書解読 古地図について、国内の東洋文庫と国会図書館所蔵の古地図と古文書の調査を行った。このほかロシアとモンゴル所蔵の古地図については、すでに出版された古地図の書物を中心にデータを収集した。そのなかで個別な古地図の地名解読、地名対照表などを作製する基礎作業を行った。 古文書については、露清間の国境交渉を記録したマンジュ語文書を中心に解析し、その時代の地図作製と国境画定との関連性を考察した。具体的な基礎作業としては、ネルチンスク条約の締結に到るまでのマンジュ語文書1106件のローマ字転写データの作成と、152件の日本語訳が完成できた。これらの文書資料と地図作製事業は、ネルチンスク条約締結後に盛んに行われるようになり、その後、ダイチン・グルン側によって国境巡視制度が設けられ、不法移民や資源の不正利用が主に報告されたことが判明した。さらに露清間の国境画定によって同族集団が二つの国に分断され、のちに国境を巡るさまざまな問題が発生する要因にもなった。 上記の古地図と古文書を解読した新しい発見については、2014年8月19日に、中国社会科学院民族学與人類学研究所の招待により、「マンジュ語文書とネルチンスク条約の国境碑-マンジュ語地図を中心として-」と題して報告を行った。また、ネルチンスク条約に関する古文書を分析して、これまで条約文そのものが誤解されてきたことについては、2015年10月24~25日に北京で行われる「第四回中国古文書学研討会」で発表する予定である。 2)古地図目録の作成 国内においては、東洋文庫と国会図書館を中心に古地図の目録を作成し、さらに『清宮内務府造辦処档案総匯』(全55冊)の中から当時の地図製作の工房である輿図房の運営の方法と地図作製のリストを抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで台湾や北京から収集してきた膨大なマンジュ語資料を中心に資料整理と翻訳作業を進めてきた。ほかの言語で書かれたトド文字(モンゴル文字)、ロシア語、チベット語などの資料も入手できたため、多言語による実証研究の資料が整い、解析作業が計画通り順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査としては、ドイツ、チェコ、台湾を予定している。絵画資料や古地図資料も継続的に調査収集する。さらにダイチングルン西方におけるジューンガルとの国境交渉に関するマンジュ語文書を用いて分析する。これら解析によって得られた成果を、積極的に国内外の会議で報告する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、大きな要因は研究図書の購入が予定通り、届かなかったことと、海外の研究発表は招聘機関より旅費が支給されたため、旅費が発生しなかったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度の研究費とあわせて、研究図書の購入とマイクロフィルムの資料整理の謝金として使用することを計画している。
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Research Products
(2 results)