2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370843
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
承 志 追手門学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80455229)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大清国 / 条約 / 河川調査 / 国境巡視 / 地図作成 / オロス(ロシア) / アムール川(黒龍江) / シベリア古地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究課題は、二つの方面から実証研究を行った。1)大清国の東北部地域の国境問題、とくに1689年までロシアと大清国がアムール方面における国境交渉過程の中で使われていた言語問題と国境をめぐる人間集団の流れの変化、そして国境に関する認識の変化。2)大清国の西部地域、すなわち遊牧国家のジューンガルと清朝との国境交渉についての考察であった。 1)に関しては、2015年10月23日から25日まで北京で開催された「第四回中国古文書学研討会」(中国社会科学院歴史研究所主催)において「ネルチンスク条約に関する古文書」と題した論文を発表した。これによってロシアと清朝の間で最初に使われた言語は満洲語とモンゴル語で、漢文が外交文書においては使われていなかったことが判明した。1676年からロシアよって満洲語にラテン語訳、ロシア語にラテン語訳の副本を付けるように要求してきたため、双方の言語は満洲語、ロシア語、モンゴル語、ラテン語になった。そのために、後にネルチンスク条約を締結するとき、漢文が使われなかったことが明らかになった。 2)に関しては、2015年4月から12月にかけてジューンガルと大清との国境交渉問題を中心に分析した。その成果を2016年1月23日に承志主催の「2016年国際ワークショップ「ジューンガルに関する歴史研究最前線」が開催され、承志は「ジューンガルとダイチン・グルンの国境交渉について」と題して発表した。この分野における国内外第一線の研究者6人を招いて会議を開いた。このなかで国境交渉過程において地図作成の問題が、次年度以降、さらに検討すべき課題として残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで収集してきた満洲語の根本資料の解読によって、多くの国境交渉の史実が明らかになった。とくにネルチンスク条約に関するほかの抄本を発見したことが重要であった。さらにジューンガルと大清国の国境交渉の史実を初めて満洲語資料に基づいてその全貌を明らかにしたことは、とても意義あることだった。多くの多言語文書の翻訳・分析を終え、ほぼ計画通りに研究が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
大清帝国における周辺地域や国家との境界や国境問題、例えば新疆、チベット、雲南、台湾、日本、朝鮮などとの境界交渉過程を明らかにした上で、それぞれの背景と特徴を分類する。これらの史実に基づいて通史的に内陸地域における国境紛争や交渉のパタンと陸地と海を挟んだ国境の分け方を析出する。最終的に地域間の境界設定の原理、内陸国家間の国境設定のモデルを提示する予定である。それを最も具体的なかたちで見えるものとしては、それぞれの地域の境界設定のために、作成された地図の実態を把握することが大事だと考えられる。最終年度には日本で満洲語、モンゴル語、チベット語、日本語などの多言語地図の国際ワークショップを開催することで議論を深めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、1冊の古地図に関する書籍にが予定通り届かなかったためである。次年度の国境に関する古地図の国際ワークショップ準備のために使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度の研究費を合わせて、8月4日から10日まで満洲語の夏期セミナを主催するために、海外から研究者を招聘する予定。さらに来年の一月に予定している国境に関する国際ワークショップの謝金として使用することを計画している。
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Research Products
(10 results)