2016 Fiscal Year Annual Research Report
National Socialist German Occupation Policy in the East and Postwar Expulsion of Germans from the East:Comparative Typological and Interrelational Study
Project/Area Number |
26370851
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
相馬 保夫 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90206673)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナチ・ドイツ / 東部占領地政策 / 戦後追放 / ホロコースト / 東部総合計画 / 人口政策 / 民族リスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,以下のようであった。第一に,ナチ・ドイツが占領統治を行った東欧諸地域に関する古典的な研究とともに,冷戦後,ソ連・東欧の文書館史料が西側の研究者にも利用できるようになってから,ホロコーストとの関連でとくに人口政策をふまえて急速に進展した東部占領地政策研究を収集し,整理することによって研究史を再検討する。第二に,これまでマイノリティ問題との関連で主に取り組んできたチェコスロヴァキア,ポーランドだけでなく,可能な限りもっと広範な地域についてもそれに関する文献と現地史料を渉猟し調査・研究する。第三に,こうして整理した東部占領地政策を比較類型化するとともに,その戦後の影響を地域ごとに比較考量し,相互連関を明らかにする。
本年度は,このうち,引き続きナチ・ドイツの東部占領地政策・人口政策に関わる膨大な研究を収集し整理するとともに,日本国内,ドイツのほか,ポーランドで関係する資・史料を収集・分析した。本年度の重点は,本国編入地域,直接支配地域とは異なる間接統治の方法がとられたスロヴァキア,クロアチアなどの傀儡国家とそこでの間接統治方式について,公刊されている諸研究を集め,その成果を整理するとともに,現地史料の発掘に努めることであった。合わせて,各地域の戦後住民移住・追放問題との相互連関について史料に基づいて考察した。
この結果,本研究を通じて,ナチ・ドイツの東部占領地政策を広範囲にわたって検討することによってその政策の比較類型化および戦後追放連関について明らかにする点については研究の一定の見通しを得ることができた。ただし,戦後追放の膨大な回想録から,ナチの人種政策の後を読み取ることには困難があり伴い,今回は扱えなかった別種の公的資料を調査する必要があると感じた。
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Research Products
(2 results)