2017 Fiscal Year Research-status Report
「ホロコースト」後のアメリカ優生学運動と冷戦期政治文化の史的考察
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26370853
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70262095)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 優生学運動 / 産児調節 / 冷戦 / ホロコースト / 家族計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二次世界大戦後のアメリカ優生学運動とその海外への伝播・発展過程を検証する本科研課題では、重点研究領域として、①ドイツ の戦後処理とアメリカの関係、②アメリカ「帝国」領域における優生学的実践1(プエルトリコ、グアム、フィリピン)、③アメリカ 「帝国」領域における優生学的実践2(日本(沖縄含む)、韓国、東南アジア、アフリカ)、④戦後アメリカ国内における断種実践、 黒人貧困層を対象とした南部社会における福祉施策、など4つを設定した。 計画4年目にあたる平成29年度は、上記④戦後アメリカ国内における断種実践、 黒人貧困層を対象とした南部社会における福祉施策を研究対象として作業を進めた。1)アメリカの戦後社会の優生学運動と福祉権をめぐる基礎文献、南部黒人の医療に関する社会学分野の研究の収集につとめた。 2)Edwin Black, War against the Weak : Eugenics and America's Campaign to Create a Master Race, Expanded Edition (2012)増補版で用いられているアメリカの優生断種に関する史料を、3月のアメリカ調査にて、コロンビア大学図書館およびニューヨーク公立図書館にて収集した。3)平成28年度に実施したアメリカ「帝国」領域における優生学実践の事例ともいえる日本のケースで、戦後の優生保護法のもとで強制断種(不妊手術)を一万件以上実施していたことが明らかになったことから、このテーマの新聞報道の整理や論文の収集も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の重点研究領域として設定されていた「戦後アメリカ国内における断種実践、 黒人貧困層を対象とした南部社会における福祉施策」の史資料の収集はほぼ計画通り、達成することができた。ニューヨークでの史料調査では基礎的な史料を中心に集めたが、南部社会の断種実践については、アトランタのジョージア州立大学の優生学アーカイブに多くの医学関係史料が保存されているので、そこにも史料収集に出向くことができればなおよかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研課題で重点研究領域として設定した、①ドイツの戦後処理とアメリカの関係、②アメリカ「帝国」領域における優生学的実践1 (プエルトリコ、グアム、フィリピン)、③アメリカ「帝国」領域における優生学的実践2(日本(沖縄含む)、韓国、東南アジア、 アフリカ)、④戦後アメリカ国内における断種実践、黒人貧困層を対象とした南部社会における福祉施策、の4つの領域のうち、①②③④については平成26年度から29年度にほぼ達成されたので、最終年度の平成30年度は過去四年間の調査をまとめ、研究成果を書籍化する計画をたてる。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度に実施した海外調査が、本務校での校務のため大幅に期間短縮せざるをえなくなったため。
(使用計画)平成30年度の計画のなかに、達成できなかった海外調査を組みこみ、使用計画をたてる。
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