2014 Fiscal Year Research-status Report
社会政策国家の政治文化史―ニューディール期前夜のアメリカ合衆国
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26370854
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松原 宏之 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (00334615)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 福祉 / 科学史 / 社会運動史 / ジェンダー / 医学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ニューヨーク市を拠点に19世紀末にLillian Waldが率いて発足するヘンリー通りセツルメントを中心に調査を開始した。訪問看護を機軸事業とするこの民間団体は、これまで専門化、科学化、国家機構の拡充(福祉国家の登場)で特徴づけられてきた二十世紀初頭アメリカ合衆国史を再検討するための足がかりである。 具体的には三つの文書館史料群の調査に手をつけた: ① コロンビア大学文書館所蔵のLillian Wald Papers ② コロンビア大学医科学図書館所蔵の訪問看護婦事業史料 ③ ニューヨーク公立図書館所蔵のLillian Wald Papers 現時点ではいまだ史料の探索と収集とが中心ながら、ヘンリー通りセツルメントの果たした役割の多様性・多義性がうかがえる感はある。ニューヨーク市の移民街で住民サービスを篤志的に提供したとも思える同組織はしかし、医学と看護の境界線をさぐるのであり、社会問題に対処する知のありようをジェンダー問題を含めて試す場であった。いわば体制補完的な福祉サービスであるとともに、体制批判を含む社会運動体でもある。ロシア革命への関心など、国際情勢への目配りもおもしろい。 1930年代以降のニューディール期は、専門化、科学化、国家機構の拡充を基調とするアメリカ型社会政策国家の確立期とされてきた。しかし、国家機構の内外で問われたのは「社会」とはなにかであり、ソーシャルワーク諸運動をはじめとするより広範な潮流は無視できない。近年活発な「福祉の混合体」論に照らしても、しばしば民間の中間団体をはじめとする多様な担い手がその過程に加わっていた。ニューディール体制を、こうした諸運動の交渉の産物として描き直すのが本研究の目的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って、順調に史料収集に着手している。Lillian Wald papers、とくにコロンビア大学医科学図書館所蔵の訪問看護婦事業(Visiting Nurse Service of New York)史料は申請時にはよく気づいていなかった史料群で、ウォルド史料の輪郭が浮かび上がろうとしている。コロンビア大学図書館自体の利用法にもなれて、次年度は研究のいっそうの進展を期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度も引き続き、ニューヨーク市を中心にソーシャルワーク運動について調査を進める。今年度は、中間報告の機会をもうける予定であり、そこでのフィードバックも研究に反映していきたい。 予備調査を始めている米国国立文書館(NARA)における全米国防会議関連史料については並行して準備を進めていく。
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