2015 Fiscal Year Research-status Report
社会政策国家の政治文化史―ニューディール期前夜のアメリカ合衆国
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26370854
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松原 宏之 立教大学, 文学部, 教授 (00334615)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会福祉 / 社会政策 / 政治文化史 / ジェンダー史 / アメリカ合衆国史 / 医療史 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度(初年度)に収拾した史料(コロンビア大学所蔵Lillian Wald papers、コロンビア大学医科学図書館所蔵Visiting Nurse Service of New York papers、ニューヨーク公立図書館所蔵Lillian Wald papers)の検討を進め、『アメリカ看護雑誌American Journal of Nursing』ほかとの対照を進めていった。 20世紀転換期のニューヨーク市に設立されたヘンリー通りセツルメントは、移民、労働者家族を対象に訪問看護サービスを提供した。形成途上で行き届かないアメリカ型社会政策国家を補完する側面を持っていたことはたしかである。ただし、訪問看護婦の経験に即してみていくならかれらがそうした体制補完にはとどまらなかったことが見えてくる。看護婦として、女性として周縁化され、階層差に直面した一方で、男性医師や行政よりも有効な医療者としての自負を深め、その中から社会改良の構想を抱き始めもした。狭義の看護にとどまらない彼女たちの発言はこの社会的、政治的文脈で読み解くべきと思われる。「アメリカ型社会政策国家」のありようはこうした挑戦とともに検討されなければならない。 本年度は三度にわたって中間的な報告の機会を得たことを付記する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年収拾した史料の整理と検討が順調に進み、三度にわたって中間報告の機会を得た。当初予定よりもやや遅い三月に史料調査を実施してその検討が積み残されているが、昨年度調査とあわせてヘンリー通りセツルメントについては目処がついた。おおむね予定通りの進捗と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の第二の柱と言うべきより制度的な側面への検討を本格化させねばならない。夏期に米国国立公文書館(NARA、ワシントンDC)での調査を予定している。ロックフェラー文書館(ニューヨーク)およびミネソタ大文書館所蔵史料についても準備を進めていくことになる。
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Causes of Carryover |
史料調査を3月に実施したため、会計処理上の理由で次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月にニューヨーク市で史料調査を実施した。また8月から9月にかけて、ワシントンDCでの史料調査を予定しているので、繰越額と今年度請求額と合わせて、その際の旅費・資料購入費として使用する。。
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Research Products
(4 results)