2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Free France in the Second World War from a viewpoint of restoring Sovereignty
Project/Area Number |
26370858
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
渡辺 和行 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (10167108)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 自由フランス / ドゴール / レジスタンス / 主権回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ナチス・ドイツに占領されたフランスが共和国を再建する闘いに焦点を当てた。共和国再建の闘いを主導したのが自由フランスであるが、自由フランスに関する邦語文献は新書の翻訳1冊という貧弱な状況であり、本研究は日本人の手になる初の自由フランス論となった。その成果は、今秋出版予定である。 本研究は、自由フランスの闘いを主権回復の闘いに視点を据えて解明した。主権の三要素に注目し、まず、自由フランスがいかにして領土を獲得したのかについて、太平洋・赤道アフリカ・北アフリカの植民地、そしてコルシカから本土フランスの解放に至る道程を時系列的に明らかにした。第二に、自由フランスは国民の支持をいかにして調達したのかについて、ドゴール派が、さまざまな国内レジスタンス組織を大同団結させて生み出した組織、全国抵抗評議会(CNR)の設立に至る過程を押さえ、CNRがドゴールを支持する声明を発した点に国民の支持を見出した。第三に、自由フランスが中央政府をいかにして樹立し、外交上の承認を得たのかについて、植民地防衛評議会、フランス国民委員会、フランス国民解放委員会、共和国臨時政府の樹立にいたる一連の経過を押さえ、その上で、英・米・ソ連による外交上の承認について確認した。 以上の分析の過程で、国民の支持調達に関して、自由フランスと国内レジスタンスとの見解の相違や、自由フランスと共産党とのヘゲモニー争いにも目配りすることができた。また、中央政府の樹立を解明する過程で、自由フランスと英米連合国との対立、さらには自由フランス内部における反ドゴール派の離反、アメリカに後押しされたダルラン提督やジロー将軍とドゴールとのつばぜり合いも論ずることが可能となった。 かくして、自由フランスの能動的な働きかけで、国内レジスタンスの統一が達成され、連合国との対抗上もドゴールが優位に統一を推進できたことが明らかになった。
|