2016 Fiscal Year Annual Research Report
Morality to support transnational solidarity between Soviet dissidents and Western intellectuals: Focusing on the year 1968
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26370860
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 康浩 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (70219377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 異論派 / 知識人 / モラリティ / 1968年 / 人権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ソ連の異論派、とりわけパーヴェル・リトヴィノフの活動を支援した西側知識人カレル・レーヴェとスティーヴン・スペンダーに関して、一次資料に基づく調査を引き続き実施した。前者のレーヴェが異論派を言論面及び財政面で支援する目的で設置した「ゲルツェン財団」のアーカイヴを所蔵するアムステルダムの国際社会史研究所での資料調査を再度行うとともに、後者のスペンダーの個人アーカイヴを所蔵するオックスフォード大ボドリアン図書館での資料調査も実施した。その結果、後者の調査では、1968年8月22日の日付があるレーヴェのスペンダー宛の書簡を発見、閲読し、両者の人的関係について新たな知見を得ることができた。また、前者の調査では、双方のプロジェクトにかかわっていた異論派支援者の一人ピーター・レッダウェイのレーヴェあての手紙を多数閲覧・収集し、両支援プロジェクトの実態をかなりの程度把握することができた。 なお、本年度は、本研究プロジェクトの最終年度にあたるため、これまでの成果を取りまとめ、学会などで公表する作業にも従事した。本研究プロジェクトの第一の目的は、ソ連の異論派知識人の活動とそれを支援した西側知識人の活動を支えた道義的立場(モラリティ)を解明することであったが、「ソ連の異論派と西側支援者を結ぶ越境的モラリティ―エゴ・ドキュメントからグローバル・ヒストリーへ」と題した報告を七隈史学会で行った。特に、西側支援者であるレーヴェとスペンダーが戦間期に共産主義や各国の共産党とかかわりをもったものの、戦後にその政治的立場から離れた経緯が、のちにソ連の異論派支援に向かう道徳的背景として重要であることを明らかにできたのは一つの成果である。この報告をベースに、現在、研究成果を英語論文にまとめる作業を行っている。
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Research Products
(4 results)