2014 Fiscal Year Research-status Report
近世イングランドにおける帰化制度の近世的特徴と他者差異化の論理
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26370862
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中川 順子 熊本大学, 文学部, 准教授 (00324731)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 帰化 / 近世イングランド / 他者認識 / ユダヤ人 / プロテスタント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は研究計画に基づき、次の2つの研究・作業を実施した。第一は、17世紀後半から18世紀前半における帰化・デニズン取得者の史料をデータベース化し、帰化制度変遷の調査とその運用・取得者の実態分析を行うことである。第二は、ユダヤ人移民や18世紀前半におけるユダヤ人に対する一般帰化法に関する文献・史料の調査・収集を行いつつ、近世イングランドにおけるユダヤ人移民の入国許可とホスト社会への受容、彼らの共同体について調査することである。 第一については、17世紀後半から18世紀前半における帰化取得者に関する実態調査に着手した。帰化に関する史料『イングランドにおける外国人のためのデニズン許可証ならびに帰化法』のデータベース化と分析を1730年代まで進めている。あと20年分ほどは次年度にその分析を継続する。同時に、その成果を刊行する準備を進めている。第二については、近世ユダヤ人移民に関する基礎調査をロンドンで実施し、収集した資料の整理と精読を進めた。また、第一の作業においてはユダヤ人に関するデータの抽出も行っており、収集した史料や文献の情報と帰化に関する史料分析結果の相互参照も行っている。また17世紀半ば以降のユダヤ人流入と彼らの共同体形成、彼らと為政者との関係についても調査を進めている。クロムウェルの入国許可以降、ユダヤ人の流入が始まり、イングランド社会において実態としてのユダヤ人の存在と、彼らに対する帰化制度の成立をめぐる議論が、ホスト社会の自己認識にインパクトを与えたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健康上の理由と公務(委員会、教育)多忙のため研究時間が当初予定していたほど十分確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている史料分析を終了させ、なるべく早く論文として刊行する。
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Causes of Carryover |
年度末に急遽研究に必要なコンピュータを購入する必要が生じたため、それを旅費の一部で調整したため差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費として計上して執行する予定である。
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