2015 Fiscal Year Research-status Report
16世紀後半の聖地巡礼記に見るイスラーム観・ムスリム観・十字軍観の変遷
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26370867
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
櫻井 康人 東北学院大学, 文学部, 教授 (60382652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 十字軍史 / 聖地巡礼史 / イスラーム史 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、平成27年度では、1551年からオスマン帝国へのキプロス島の割譲およびレパントの海戦の起こった前年である1570年までを考察対象時期として史料、具体的にはヨハン・フォン・ビムバハの作品(1551年作成)からルイージ・グラツィアーニの作品(1570年作成)までの約70作品の分析・検討を行った。その内の24作品が聖地巡礼記として区分されたが、その分析の結果として以下のことが明らかとなった。 1550年代以降に地中海情勢は悪化したが聖地巡礼のシステムは維持されていたこと、従って当該時期を「聖地巡礼の黄金期の終焉」と断定することはできないこと、その一方で、1551年に起こったオスマン帝国によるシオン山占拠や、「トルコ人」によって奴隷とされた巡礼者の増加は、ヨーロッパ人たちの中に「トルコ人」の対する負の感情を強めたことである。このような感情は、過去の「十字軍」とは異なる形での「十字軍」待望論を新たに作り出すこととなったが、そのような考え方はカトリック圏内の教会人に特有なものであったと言えるのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に行う予定であった史料分析が予定以上に進めることができた結果として、平成28年度に行う予定である史料分析に、若干ながらも着手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通りに史料分析とその検討を進めていく。
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