2015 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦期、米英両国の世界地理認識の比較研究―地図史研究の方法論を用いて―
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26370870
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
高田 馨里 大妻女子大学, 比較文化学部, 准教授 (40438172)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地図史 / アメリカ史 / イギリス史 / 第二次世界大戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請時の計画通り、1年目の研究調査を踏まえて、2年目においては学会での報告を重視した。2015年5月17日、富山大学で開催された日本西洋史学会の現代史部会で研究成果を報告した。その際、地図史を研究する若手研究者と交流し、秋に行われる学会パネルを組むことになった。その後、夏季にイギリスでの調査に従事し、英国図書館の地図室で、米英両国の地図作成者が協力して作成した、ヨーロッパ戦線で用いられたという精密爆撃地図(斜角遠近法標的地図:Oblique Perspective Target Map)を発見することができた。アメリカ合衆国の第二次世界大戦関連研究などで言及されていることはあったにもかかわらず実物が掲載されておらず、また昨年の米国立公文書館・議会図書館での調査では、所蔵を確認できなかった地図であった。おそらくは、第二次世界大戦当時、作成されたイギリスにおいてのみ所蔵されてきたのではないかと考えられる。この発見した地図の作成過程については、英国立公文書館での調査でイギリス航空相の史料の中で、作成者並びに作成プロセスを記した史料を見つけることができた。これらの調査研究成果について、福島大学で開催された政治経済学・経済史学会において、報告を行った。その際、さまざまな分野の研究者の方にご意見をいただき、地図史研究継続への手ごたえを得ることができた。これら、一連の学会報告、夏季史料調査の成果については、大学研究紀要で論考をまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の調査に基づき、2年目において、日本西洋史学会ならびに政治経済学・経済史学会の両学会で研究報告を行い、これらの調査研究報告成果を大学研究紀要において論考として発表することができた。また、学会での研究報告を通じて、地図史研究に従事する研究者と交流し、様々な情報交換を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたように、英国図書館ならびに英国立公文書館での調査の結果、米英両国の地図作成者が協力して精密爆撃用の地図を作製したことが明らかになった。申請時の段階では、アメリカ合衆国の戦略事務局の地図作成責任者である人物の所属した大学の図書館のコレクション調査を予定していたが、引き続き、発見した地図の作成状況、利用状況ならびに保存に関して調査する必要があるため、再び、イギリスにおける地図・史料調査を行いたいと考えている。この調査によって、米英両国の協力体制の在り方を明らかにしたい。この調査結果に関しては、英文論文を準備し、海外学術雑誌に投稿したいと考えている。
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Causes of Carryover |
海外での資料調査ならびに、富山大学と福島大学での学会発表等で旅費が平成27年度の年間予算を超過したため、基金として次年度に繰り越し、新年度になってから決済していただきました。これまでの研究・調査計画に関しては、大幅な変更はございません。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に関しても、海外調査ならびに研究成果報告を積極的に行っていきたいと考えております。
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