2014 Fiscal Year Research-status Report
第2次大戦時ハワイ日系人新聞の検閲 アメリカ軍による戒厳令下の「敵国語」統制
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26370871
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
水野 剛也 東洋大学, 社会学部, 教授 (90348201)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハワイ日系アメリカ人 / 第2次世界大戦 / 戒厳令 / 日本語新聞 / 検閲 / 報道統制 / 言論・表現の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年となる今年度は十分な成果(あるいは、近い将来に成果として結実する可能性のある活動)をあげることができた。 まず、通算3冊目の単著を出版することができた。書誌情報は、水野剛也、『「自由の国」の報道統制 大戦下の日系ジャーナリズム』(吉川弘文館、2014年)である。これまで受けてきた科研費による研究をまとめた集大成の一つと位置づけており、かつ新聞・専門誌等の書評でも好評を得ることができ、今年度最大の成果である。 次に、カナダ・モントリオールで開催された国際学会(Association for Education in Journalism and Mass Communication =AEJMC)において、単著論文“Press Freedom in the Enemy’s Language: Government Control of Japanese-Language Newspapers in Japanese American Camps during World War II”を発表した。AEJMCはジャーナリズム、マス・メディア研究において世界でもっとも権威のある学会のひとつであり、口頭発表をするだけでもきびしい審査を通過しなければならない。筆者が提出した歴史部会の採用率は50.8%であったが、高いレベルの審査を通過したことは自信につながる。 さらに、上述の論文をAEJMCの旗艦雑誌であるJournalism & Mass Communication Quarterlyに投稿したところ、2015年3月末に「採用」の通知を受けた。世界中の一流の研究者がしのぎを削る学会誌に採用されたことも、さらなる栄誉である。 最後に、勤務先の東洋大学で取り組んでいる共同プロジェクト「社会的逆境後の精神的回復・成長をもたらす個人的および社会的資源」(私立大学戦略的研究基盤形成支援事業、2013年-2017年)の一環として、紀要論文として“Caring Poorer Compatriots in a Most Trying Time: Japanese Americans, their Mother-Language Press and Relief of Japan after World War II”を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、初年度からきわめて順調に研究成果を生み出すことができている。当初の計画以上に進んでいるといえる。その理由として、これまで継続的に、1年も欠けることなく科研費を受けつづけることができているため、蓄積がふんだんにある点がもっとも重要である。これまで収集してきた一次史料や文献を駆使して、単著1冊、そしてかなり厳しい国際学会において投稿論文を英語で1本、完成させることができた。後述の英語論文は学会誌へ投稿し、審査を通過しており満足できる結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、現在のところ、当初計画した以上の成果をあげているので、それに満足・油断することなく、2年目以降も継続的に史料収集、文献精読にはげみ、かつ論文執筆をさらに進展させるよう努力するつもりである。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2014年8月に行った史料収集と学会発表を1度の出張で済ませることができたためである。その分、次年度以降は余裕をもった海外出張ができると思う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
定期的に国内外の研究機関等へ出張し、史料渉猟、あるいは学会に参加することで、当初計画したとおりの目的に沿って研究費を適正に使用していく計画である。論文執筆がすすめば、それだけ発表の機会も多くなるので、それに史料収集の出張をあわせたりすることで、効率的な使用をこころがけるつもりである。
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Research Products
(4 results)