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2015 Fiscal Year Research-status Report

ローマ帝国における民会の東西比較に関する研究

Research Project

Project/Area Number 26370875
Research InstitutionTokyo City University

Principal Investigator

新保 良明  東京都市大学, その他部局等, 教授 (60206331)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsローマ帝国 / 都市 / 民会 / 都市法 / 政務官選挙
Outline of Annual Research Achievements

平成27年度はローマ帝国西部の都市を対象として、民会がどのように機能していたのかを確認しようとした。
その結果、民会による選挙規程を詳細に伝える都市法(たとえば、「マラカ市法」51-60条)が認められ、またポンペイには政務官候補者の推薦を記した落書きがいくつも残されていることがわかり、ディゲスタにも選挙にまつわる勅答が残されていた。これらから、民会が都市政務官の選出という機能を果たしていたことが判明した。
ところが、それ以外の機能、たとえば民会が何かを決議し、都市の方向性を決めたといった点は何ら確認されなかった。これは、帝政期においてもいくつもの民会決議を出した東部と決定的に違うことを意味する。ここまで大きな違いが現れるとは思わなかった。
西部における民会決議の欠如は東部に比べ都市としての未成熟に帰せられると考えられる。東部は古代ギリシア以来、いくつもの都市を抱え、都市文化の中にあった。そのため、当然のことながら、民会が重要な役割を担ってきた。都市政務官も民会決議を利用することもあれば、逆に民会決議によって何らかの対策を講じるよう強いられることもあった。これに対し、西部では都市がそもそも未発達であったため、属州総督が部族の有力者を説得し、定住と都市建設を促したのみならず、ローマ流の政務官制度や都市法を「上から」導入したのであった。その結果、都市の民衆は民会を動かして自分たちの意向をかなえていくという意識に欠けたのであろう。事実、今日に伝わる西部の都市法は多様な規程を教えるが、民会決議についての条項は知られていない。
では、民衆は自分たちの意向を伝えるすべを持たなかったのであろうか。平成28年度はこの問題に迫ってみたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

東西比較において予想以上の違いが認められた。

Strategy for Future Research Activity

最終年度は民会以外にも民衆が意志を明確化する手立てがあったのかを確認、考察してみたい。

Causes of Carryover

4月から共通教育部長に就いたため、会議が増大し、国内外を問わず、出張に行くことが困難になった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

スケジュールを調整して、出張に行けるよう工夫したい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results)

  • [Journal Article] ローマ帝政前期における都市への遺贈とエヴェルジェティズムの諸相2015

    • Author(s)
      新保良明
    • Journal Title

      東京都市大学共通教育部紀要

      Volume: 8 Pages: 1-15

    • Open Access / Acknowledgement Compliant

URL: 

Published: 2017-01-06  

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