2016 Fiscal Year Annual Research Report
Regional typology of town houses of Medieval France
Project/Area Number |
26370877
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀越 宏一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20255194)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中世ヨーロッパ / 都市 / 町家 / サンチャゴ巡礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究に基づく調査対象の確定と中世歴史建造物のデータ・ベースであるメリメを利用した中世家屋の残存状況の確認を行った後、8月23日から9月8日に、フランス中部のリヨンとオーベルニュ地方において、中世都市家屋の残存状況の調査を行った。 リヨンでは、サン・ジャン通りを中心とした地区において、ルネサンス期の町家を数多く観察するものの、中世町家は殆どなかった。中世以上に、15世紀に発展した都市なので、予想していた結果だったが、町家の建設と残存の状況に、都市そのものの歴史が深く関与していることを改めて実感した。 オーベルニュ地方では、 Thiers, Clermont-Ferrand, Besse-et-Saint-Anastaise, Saint-Fleur, Le Puy-en-Velay, La Garde-Guerin において、15世紀の町家を発見できたが、逆に14世紀以前にさかのぼるものはほとんど存在しないことを確認した。ミディ・ピレネー地方と並んで、中世の史跡が数多く残されていることで知られるオーベルニュ地方で、Le Puy-en-Velay を例外として、ゴシック式の店舗開口部やアーケードを持つ中世町家が予想外に少ないことは、Le Puy-en-Velay を除くと名高いサンチャゴ巡礼路都市がないことがその背景にあると予想される。また、ハーフティンバー様式の建物はごく少数にとどまっていたことは、石材の豊富な同地方の地域的特性に因るものと考えられる。 他方、Moudeyres, Bigorre, Les Maziaux では多くの藁葺き農家、複数の村(Leotoing, Saint-Julien-Chapteuil)でバナリテのパン焼きかまど、Essertines, Montchauvet, Rochecolombe の3ヶ所において中世廃村遺跡を見ることが出来た。
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